月の夜に洪水が
川口晴
2006年11月30日
幻冬舎
1,430円(税込)
小説・エッセイ
今日も、風俗嬢あきは、屋上にいた。気持ちが暗くなると、屋上に昇る。それが、あきの癖だ。初めて屋上に昇ったとき、一緒だったメイシャは、もうこの世にいない。あきにとってただ一人の「つながっていた他人」だったメイシャ。太腿をさらさらと触れ合わせた日から、ふたりのつながりは、少しずつ性的な色合いを強めていく。そんなある日、メイシャは突然の事故で死んでしまう。心を閉ざし、愛想よく誰とでもほどほどに接し、特定の人に深く近づくことを巧妙に避けながら生きるあきに、踏み込んでくる他人たち。そして、高校3年のあの日、事件は起こった…。出会いによって狂わされ、助けられ、輝いていく、青春。親友=恋人を喪った10代のあの日から、彼女の人生は大きく狂っていく。青春の心の揺れ、痛ましい喪失と奇跡のような救済をあざやかに描いた、切なく感動的な恋愛小説。
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