もういちど生まれる
朝井リョウ
2011年12月31日
幻冬舎
1,540円(税込)
小説・エッセイ
彼氏がいるのに、親友に想いを寄せられている。汐梨、平凡な日常と、特徴のない自分に飽き飽きしている。翔多、絵を通して、壊れた家族に向き合おうとする美大生。新、美人で器用な双子の姉にコンプレックスを抱く浪人生。梢、才能の限界を感じつつも、バイトをしながらダンス専門学校に通う。遙。あせりと不安を力に変えた5人が踏み出す“最初の一歩”。
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いつも全力
starstarstar 3.1 2024年05月04日
star
人生の中で一番自由で一番楽しかったのは学生時代だったと思います。仲間でキャンプに行ったり、バンドしたり、恋愛したり、あの時、あの場所で全力で生きていて良かったと思います。
よく、人生をやり直すとしたらいつからやり直したいかといった質問がありますが、私はいつの日にも戻りたくありません。いつも全力で頑張ってきました。どこにも戻りたくありません。
もういちど生まれる、きっとそんな考えも私は持たないと思います。
ひらがなで表すなら「あやめ」じゃなくて「つくし」みたいに、すべて一筆でさらりと書けてしまうけれどよく見るといろんな方向に開いているような、ってすごい表現、こんな感覚を持って話せたら面白いのになぁって思いました。
父さんのカレーは、ぴかぴかに光る金色をしていた。学校で絵の授業があったときもカレーの部分を金色に塗った。金色の絵の具のチューブを、中身がなくなるまでぎゅうぎゅうと絞っていた。ぐっと来ますね。少年の無垢さ純粋さが滲み出ています。
美大の兄と、ダンスの専門学校に通う妹の話が面白かった。兄の描いた絵を妹が破っていたのは衝撃だったけど、そういったことも理解出来ました。
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☆
5つの短編小説だけど、出てくる登場人物や時間軸が微妙に重なっていて、全てを読み終えるとあの時のあの人のあの台詞は、こんな葛藤の中から出されたものだったのかと気付く。そして物語の主人公たちもそうであるように、人はなかなか自分の立場からでしか物事を捉えることは出来ないのだなと感じた。5つの短編の中でも3つに色濃く登場する椿目線のストーリーを読んでみたいと思った。 「あのころ私たちは、他の人とは違うことを「すごい」と思っていた。ー非日常を見せてくれる人間のことを、「すごい」と思っていた。ー日常に根差している才能を「すごい」と感じられるのは、もっともっとあとのことなんだ。」 ただ後半3つに比べて前半2つの内容が少し薄く感じたので星3.5に。
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