
第五番
久坂部羊
2012年2月29日
幻冬舎
2,090円(税込)
小説・エッセイ
私立医学部の雄・創陵大学皮膚科の准教授・菅井憲弘のもとに送られてきた患者の病変は、これまで見たことのないものだった。表面には赤黒いシイタケ状の肉腫。エイズ患者が発症する皮膚がんの一種「カポジ肉腫」と似ていたが、ウイルスがまったく別ものだった。やがて腫瘍が骨を溶かし、数日で全身に転移、意識障害を起こして死に至った。エイズの、がんの特効薬がまったく効かない。さらに数カ月のうちに日本列島で患者が同時多発。が、国も医療界もまったく手だてがなく、日本人を恐怖のどん底に陥れたー。その名は、「新型カポジ肉腫」。
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(無題)
エボラ出血熱、エイズ、狂牛病、SARSに次ぐ、悪魔の疫病No.5が日本を襲った。その名は「新型カポジ肉腫」。 本書は「無痛」の続編である。今回は「新型カポジ肉腫」という疫病、この病気に罹った人達の死に到るまでの描写もさることながら、病気の解明によってステップアップを目指す医師や、この病気の背景にあるもの、それと歪んでいる人々など社会的問題提起もいつもの著者らしい。 過去の作品では才と筆に任せて医療問題に警鐘を鳴らしてした作者だが、本書は抑制が利いているので読んでいて気持ちが良い。 単純に図式化して言うなら、医療の進歩によってこの世の中から病気がなくなったとしたら医療従事者は生活の糧を失う。そこでWHOの裏組織メディカーサが、糸を引いて医療と疫病のバランスを取るのだという。過去のエボラ出血熱、エイズ、狂牛病、SARSはすべてメディカーサの演出だという設定だ。当然、第五の新型カボジ肉腫も。 この伝染病が拡大していき、必死に生きようとする患者、なんとしても治癒させようとする医師。ところがこの疾病は積極的に治療すればするほど症状が悪化するという、医療従事者を馬鹿にしたものである。著者独特の倫理観を超越したような人物描写はいつも通り面白いし、展開もスピード感に富んでいる。 私は「無痛」のレビューで、肉体的に痛みを感じないということは、容易に理解できよう。では心の痛みはどうなのだろう。そんな問いかけを本書はあたかも鋭利な刃物のような切り口で読者に迫る。と書いた。本書で著者は、たとえ肉体的に痛みを感じなくとも、心の痛みは感じる、と登場人物に語らせている。その意味では「無痛」は本書で簡潔したとも言えよう。
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