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(無題)
サヴァイヴを読んで、さらにこの作家の世界を知りたくて手に取った1書である。サヴァイヴとの作風の違いに驚きを禁じ得なかった。 若い女性にとって、理解できない男性の趣味にスボーツ観戦があるそうだ。自分がやるわけでもないのにどうしてそんなに夢中になれるのか、僕も理解に苦しむ。しかも、1日に⒌000㌔カロリーも消費する自転車ロードレースと言ったら、完全に男の世界だと思う。サヴァイヴはそんな世界を描いている。この作品を読みながら、作者は史恵と女性を名乗っているが、実は男性なのではないか、と何度も思ったほどだ。それほど男っぽい世界が描き出されていた。 これに対して本作の細やかな感性と心理描写が紡ぎだす世界は、全くの別物だ。借りた歯ブラシを返す、そんな他愛もないシチュエーションで相手の思考や感性が分かってしまう。また、出て行った人間が残した歯ブラシを眺めて、生身の人間を思い浮かべるシーン。著者の力量は並大抵ではない。 主人公は脚本家としてそこそこ成功している独身アラフォー鈴音。住まいは2LDKの分譲マンション。他に仕事場としてもマンションを借りている。恵まれたと言って良い人生を送っている彼女のところへ、親しくもない高校時代の友人、水絵が頼ってやってくる。水絵が仕事を探すための1週間と言う期間限定で、泊めてあげることにした鈴音。しかも水絵には幼い子どももいた。他人と同居することで感じるストレスや苛立ち、仕事が見つからない場合はどうなるのかと言う不安や疑問など、とても上手く描かれていて、主人公の心理が伝わってくる。 ストーリーはこれだけなのだが、僕としては水江という人生がどうにも気になる。水江はどう転んでも幸せになれない女だからだ。まず子供の頃からの盗癖だ。盗みを働かなければならない程困窮した家庭環境かといえば、そうでもない。人並みに結婚したが、夫とどうしても馴染めない。非は夫にあってもそれを周りに納得させることができない。周りと調和したり、自分が折れて対人関係を良好に保つことができない。つまり水江は自分で自分をどうすることも出来ないでいる不器用な人間なのだ。生きずらさを感じながらも自分を変えることができなければ、不幸せの人生を歩む選択肢しか残されていない。そんな水江を成長した息子が許すシーンが救いとなる。 2014年10月25日 9:58:38 の変更内容が競合しています: はぶらし サヴァイヴを読んで、さらにこの作家の世界を知りたくて手に取った1書である。サヴァイヴとの作風の違いに驚きを禁じ得なかった。 若い女性にとって、理解できない男性の趣味にスボーツ観戦があるそうだ。自分がやるわけでもないのにどうしてそんなに夢中になれるのか、僕も理解に苦しむ。しかも、1日に⒌000㌔カロリーも消費する自転車ロードレースと言ったら、完全に男の世界だと思う。サヴァイヴはそんな世界を描いている。この作品を読みながら、作者は史恵と女性を名乗っているが、実は男性なのではないか、と何度も思ったほどだ。それほど男っぽい世界が描き出されていた。 これに対して本作の細やかな感性と心理描写が紡ぎだす世界は、全くの別物だ。借りた歯ブラシを返す、そんな他愛もないシチュエーションで相手の思考や感性が分かってしまう。また、出て行った人間が残した歯ブラシを眺めて、生身の人間を思い浮かべるシーン。著者の力量は並大抵ではない。 主人公は脚本家としてそこそこ成功している独身アラフォー鈴音。住まいは2LDKの分譲マンション。他に仕事場としてもマンションを借りている。恵まれたと言って良い人生を送っている彼女のところへ、親しくもない高校時代の友人、水絵が頼ってやってくる。水絵が仕事を探すための1週間と言う期間限定で、泊めてあげることにした鈴音。しかも水絵には幼い子どももいた。他人と同居することで感じるストレスや苛立ち、仕事が見つからない場合はどうなるのかと言う不安や疑問など、とても上手く描かれていて、主人公の心理が伝わってくる。 ストーリーはこれだけなのだが、僕としては水江という人生がどうにも気になる。水江はどう転んでも幸せになれない女だからだ。まず子供の頃からの盗癖だ。盗みを働かなければならない程困窮した家庭環境かといえば、そうでもない。人並みに結婚したが、夫とどうしても馴染めない。非は夫にあってもそれを周りに納得させることができない。周りと調和したり、自分が折れて対人関係を良好に保つことができない。つまり水江は自分で自分をどうすることも出来ないでいる不器用な人間なのだ。生きずらさを感じながらも自分を変えることができなければ、不幸せの人生を歩む選択肢しか残されていない。そんな水江を成長した息子が許すシーンが救いとなる。 2014年10月25日 9:58:38 の変更内容が競合しています: はぶらし サヴァイヴを読んで、さらにこの作家の世界を知りたくて手に取った1書である。サヴァイヴとの作風の違いに驚きを禁じ得なかった。 若い女性にとって、理解できない男性の趣味にスボーツ観戦があるそうだ。自分がやるわけでもないのにどうしてそんなに夢中になれるのか、僕も理解に苦しむ。しかも、1日に⒌000㌔カロリーも消費する自転車ロードレースと言ったら、完全に男の世界だと思う。サヴァイヴはそんな世界を描いている。この作品を読みながら、作者は史恵と女性を名乗っているが、実は男性なのではないか、と何度も思ったほどだ。それほど男っぽい世界が描き出されていた。 これに対して本作の細やかな感性と心理描写が紡ぎだす世界は、全くの別物だ。借りた歯ブラシを返す、そんな他愛もないシチュエーションで相手の思考や感性が分かってしまう。また、出て行った人間が残した歯ブラシを眺めて、生身の人間を思い浮かべるシーン。著者の力量は並大抵ではない。 主人公は脚本家としてそこそこ成功している独身アラフォー鈴音。住まいは2LDKの分譲マンション。他に仕事場としてもマンションを借りている。恵まれたと言って良い人生を送っている彼女のところへ、親しくもない高校時代の友人、水絵が頼ってやってくる。水絵が仕事を探すための1週間と言う期間限定で、泊めてあげることにした鈴音。しかも水絵には幼い子どももいた。他人と同居することで感じるストレスや苛立ち、仕事が見つからない場合はどうなるのかと言う不安や疑問など、とても上手く描かれていて、主人公の心理が伝わってくる。 ストーリーはこれだけなのだが、僕としては水江という人生がどうにも気になる。水江はどう転んでも幸せになれない女だからだ。まず子供の頃からの盗癖だ。盗みを働かなければならない程困窮した家庭環境かといえば、そうでもない。人並みに結婚したが、夫とどうしても馴染めない。非は夫にあってもそれを周りに納得させることができない。周りと調和したり、自分が折れて対人関係を良好に保つことができない。つまり水江は自分で自分をどうすることも出来ないでいる不器用な人間なのだ。生きずらさを感じながらも自分を変えることができなければ、不幸せの人生を歩む選択肢しか残されていない。そんな水江を成長した息子が許すシーンが救いとなる。
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