
院長選挙
久坂部羊
2017年8月31日
幻冬舎
1,760円(税込)
小説・エッセイ
国立大学病院の最高峰、天都大学医学部付属病院。その病院長・宇津々覚が謎の死を遂げる。「死因は不整脈による突然死」という公式発表の裏では自殺説、事故説、さらに謀殺説がささやかれていた。新しい病院長を選ぶべく院長選挙が近く病院内で開かれる。候補者は4人の副院長たち。「臓器のヒエラルキー」を口にして憚らない心臓至上主義の循環器内科教授・徳富恭一。手術の腕は天才的だが極端な内科嫌いの消化器外科教授・大小路篤郎。白内障患者を盛大に集め手術し病院の収益の4割を上げる眼科教授・百目鬼洋右。古い体制の改革を訴え言いにくいこともバンバン発言する若き整形外科教授・鴨下徹。4人の副院長の中で院長の座に就くのは誰か?まさに選挙運動の真っ盛り、宇津々院長の死に疑問を持った警察が動き出した…。
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(無題)
久坂部羊の作風は変わってしまったのだろうか。いつもいつも重いテーマで深刻ぶっていては疲れてしまうので、気分転換にコミカルさを入れるのはアリだと思う。しかし、本作の前に読んだ「嗤う名医」も「芥川症」もくすぐり路線だ。 病気を診るのが医者。もしも医者がビョーキだったらどうなる。こんな皮肉な設定に基づいて物語が展開して行く。しかも、町医者じゃない。れっきとした大学病院の教授である。天都大学医学部付属病院の宇津々病院長が急死した。後任院長選挙を巡るドタバタ劇が繰り広げられる。院長選の候補者は外科嫌いのナルシスト・徳富循環器内科教授、色情狂の大小路消化器外科教授、銀髪の守銭奴・百目鬼眼科教授、天都大の狂犬・鴨下整形外科教授の4人。 心臓を扱う循環器内科が医療界で最も重要な科と主張する徳富教授。確かに医学界には内科や外科より耳鼻咽喉科、眼科、整形外科などを低く見下す空気がある。反対に高齢者の増加とともに、白内障手術が増えて眼科医の収入が増えてもいる。本書では大学病院の教授をコミカルにしかもシニカルに描いているが、大学病院の実態を空気感を含めて正確に表現している。 しかし、このくすぐり路線でいいのかどうかは、疑問だ。同じ医療界をコミカルで描いた作品に浅田次郎の「血まみれマリー」があるが、この作品ほどに可笑しければ、あっけらからんと笑うことができる。しかし、そこまでは突き抜けていないのが残念。もっとも浅田次郎はこの作品執筆中は「神が降りてきた」と言ってるほどだから、これほどの作品はそうそう生まれなのだろう。
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