たゆたえども沈まず
原田マハ
2017年10月31日
幻冬舎
1,760円(税込)
小説・エッセイ
19世紀末、パリ。浮世絵を引っさげて世界に挑んだ画商の林忠正と助手の重吉。日本に憧れ、自分だけの表現を追い求めるゴッホと、孤高の画家たる兄を支えたテオ。四人の魂が共鳴したとき、あの傑作が生まれ落ちたー。原田マハが、ゴッホとともに闘い抜いた新境地、アート小説の最高峰。ここに誕生!
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(無題)
パリ市の紋章にはラテン語で”Fluctuat nec mergitur“と書いてある。直訳すると「それ(船)は波の上で揺れる。それでも沈められない」である。日本語訳は「たゆたえども沈まず」となる。動乱を乗り越えて進むパリ市を船に見立てているのである。さらに原田マハは、本作で芸術作品を船に見立てたのである。 時は世紀末、舞台はパリ。「芸術の都パリ」が何の幻影も伴わず、文字通り機能していた時代であった。登場人物はエトランゼ4人。オランダから来たフィンセント・ファン・ゴッホとテオドルス・ファン・ゴッホの兄弟、そして林忠正と加納重吉の日本人美術商である。加納重吉以外は実在の人物である。作家の想像力はこの4人をパリで邂逅させた。そして炎の作家ゴッホの創作に日本人画商を絡ませたのであった。また、ゴッホ本人と林忠正の心の中までは想像力を働かせていない。その分、弟で庇護者であったテオドルスとシゲ事加納重吉の交流を描く中で薄幸の天才画家ゴッホを表現している。その点、加納重吉は全くの想像上の人物である為、作家の思うままに振る舞うことが可能で、作家の想像と現実とのギャップを埋める役割を果たしている。 ジヴェルニーの食卓でドガ、セザンヌ、モネ、マティスの印象派を書いた原田マハがポスト印象派を描いた楽しい小説である。
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LILY
(無題)
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