どうしても生きてる

朝井リョウ

2019年10月31日

幻冬舎

1,760円(税込)

小説・エッセイ

死んでしまいたい、と思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。(『健やかな論理』)。家庭、仕事、夢、過去、現在、未来。どこに向かって立てば、生きることに対して後ろめたくなくいられるのだろう。(『流転』)。あなたが見下してバカにしているものが、私の命を引き延ばしている。(『七分二十四秒めへ』)。社会は変わるべきだけど、今の生活は変えられない。だから考えることをやめました。(『風が吹いたとて』)。尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が映されているような気がした。(『そんなの痛いに決まってる』)。性別、容姿、家庭環境。生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。(『籤』)。現代の声なき声を掬いとり、ほのかな光を灯す至高の傑作。

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書店員レビュー(1)
書店員レビュー一覧

ひさだかおり

書店員@精文館書店中島新町店

(無題)

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2
2020年01月16日

みんなのレビュー (2)

Readeeユーザー

(無題)

starstarstarstar
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4.3 2021年08月20日

色々な角度で世間を見つめ、逃れることのできない現実と生きることを書いた本。 さまざまな生きる形があって、それぞれの葛藤があって、あらゆる諦めがあって、気づき、気づかず進んでいくこの時を感じさせてくれる本だったと思う。

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MAOW☪︎⋆

(無題)

starstarstarstar 4.0 2023年09月26日

健やかな理論 別に死にたいわけじゃない。でも「もういっか」って思うことはある。そんなとき、手軽に死ねるツールがすぐ側にあれば、自殺も不思議じゃない。 七分二十四秒めへ 音楽を聴いていても映画を見ていても、何をしていても現実が迫ってくる。もう希望も何もないのなら、一時でもいいから現実から目を背けたい。だから中身のないくだらない動画を、今日も見るのだ。そのときだけは、救われるから。 流転 「好きなように生きる」ことと「嫌なことから逃げる」ことは違う。投げ出して逃げ出してばかりの人生では、どうしたって自分自身に対しての後ろめたさが付きまとう。 遠い自分のために、時には信念を曲げ、絶対に譲れないと思っていたものすら差し出し、自分が対峙しているものと「向き合う」ことが必要になる。 籤 救いようのない話。絶望。醜い人間の本性を暴くこと。朝井リョウの本質だと思っていたものについて、自己言及的な批判をしていた。だが我々は知っている。いつだって最後には、消え入りそうな希望を残してくれていることを。だから、今日もまた生きるしかないのだ。 受け入れがたい現実を目の前に「こうなったことにも意味はある」とは思えなくとも、それでも生きるしかない。生きればそれが次の「生きる術」に繋がる。乗り越えた試練を繋げて、次の試練に挑むのだ。

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