玄冶店の女

幻冬舎文庫

宇江佐真理

2007年8月31日

幻冬舎

628円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

日本橋の玄冶店と呼ばれる路地で小間物屋を営むお玉は、元花魁。身請けされた旦那と縁が切れた矢先、芸妓屋の顔見知りの娘が通う手習い所の師範・青木陽蔵に出会う。その清廉な人柄に、お玉は強く惹かれるが、それは世間が許さぬ分を越えた恋だった…。運命に翻弄されながらも健気に生きる女たちの切なくて心温まる八つの物語。傑作人情譚。

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Readeeユーザー

(無題)

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2.7 2018年01月27日

最近は、時代小説を読む機会が増えているように思う。時代小説と言えば、多くは江戸時代に時代設定している訳だが、この時代、経済成長率は対前年度比数%であった。この程度では国民に分配すべきパイは無きに等しい。貧しいにもかかわらず、不満も言わず江戸の庶民は生き生きとしている。この時代、富は現在と同様に社会的スティタスであるが、何より重んじられたのは、大人の見識であった。だから横丁のご隠居が敬われた。現代の政界や財界の指導者は、それなりの理屈は言うが、損得が見え隠れするように思えて仕方が無い。本作品に登場する市井の人々は、日陰の女性であるが、しっかりと大人の見識を備えている。そんな思いを強くさせる小説である。 さて、書名にある玄冶店(げんやだな)は、日本橋界隈の古くからの地名である。法印・岡本玄冶の拝領屋敷跡一帯を指した。歌舞伎の『与話情浮名横櫛』(通称『切られ与三郎』)の4幕目には、実名を避けて鎌倉にある「源氏店」として登場する。 本書は、元吉原の花魁で落籍されたが、新しい女の出現でお払い箱になったお玉。祖父のような旦那に囲われながらも、役者の間夫を持つお花、深川芸者で三味線の師匠のお喜代。3人の日陰の女たちの日常と幸せを足掛け2年に渡って描いている。 旦那に見限られたお玉は、今後の生計のために小間物屋糸玉に本腰を入れようとしていた。そんな折り、見慣れぬ若侍が中年の女を捜してお玉の元を訪れる。母親であるおまさに捨てられたと思い込み、恨む秀之進である。おまさと秀之進の母子関係の修復が図られるが、秀之進の学問の師匠・陽蔵が関わってくる。それをきっかけにお玉と陽蔵がお互いを意識し始めるのだった。また、銭湯でさんざん悪口を言い放つ女中たちに、お喜代が放つ啖呵が小気味良い。さすが、辰巳芸者である。しかも「のほほんと太平楽な顔をしているから、よその女中にまで陰口を叩かれるんだ」。と、小梅にも小言を言う辺りが、なんとも言えない。大人の物言いである。

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