半島を出よ(下)

幻冬舎文庫

村上龍

2007年8月31日

幻冬舎

838円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

さらなるテロの危険に日本政府は福岡を封鎖する。いまや九州は反乱軍の占領下となった。逮捕、拷問、粛清、裏切り、白昼の銃撃戦、被占領者の苦悩と危険な恋ー。絶望と希望が交錯する中、若者たちの決死の抵抗が始まる。現実を凌駕する想像力と、緻密な描写で迫る聖戦のすべて。各紙誌で絶賛を浴びた、野間文芸賞、毎日出版文化賞受賞作品。

本棚に登録&レビュー

みんなの評価(17

starstarstar
star
3.75

読みたい

20

未読

19

読書中

3

既読

109

未指定

103

書店員レビュー(0)
書店員レビュー一覧

みんなのレビュー (1)

Readeeユーザー

(無題)

starstar
star
2.8 2018年01月24日

北朝鮮のコマンド9名が福岡ドームを制圧してから5日目となりました。本書の3つ目の視点「イシハラグループ」の動向が気になります。この集団を一言で表現すればサイコパス犯罪者集団と言えます。彼等の内に秘めた破壊願望が高麗遠征軍へと向かうのです。この集団の行動には、理解に苦しむところが多々あります。グループのボス・イシハラは詩人ということになっていますが、反社会的なマイノリティーの生活の面倒をみるのは何故なのか、との基本的な疑問に回答が与えられません。また、イシハラの活動をバックアップする経済スタッフ・タケイは武器を調達して早々と死んでいきますが、彼がイシハラグループを経済的にバックアップするインセンティブが奈辺にあるかも不明です。 下巻で最大の関心は、高麗遠征軍に制圧された福岡市民はどうなるのだろう、との疑問です。高麗遠征軍の司令部が置かれた超高層ホテルに忍び込んだイシハラグループが、ホテルを爆破して倒壊させるべく高性能の爆薬を各階の鉄骨に仕掛けます。イシハラグループと高麗遠征軍のコマンドとのホテル内での息詰まる攻防、この辺が本書1番の読ませどころですね。 もう一つが徹底した取材に基づく北朝鮮国民の心情模写です。北朝鮮の庶民は飢餓に苦しむとも伝えられるなかで『幸せなのかな」、との素朴な疑問があります。仮に独裁の圧政に苦しんでいれば、国民の不満が嵩じてやがては政府の瓦解を招くだろうことが予想されますが、そうなりそうにもありません。儒教は思想・宗教というより秩序維持の側面が強いように感じますが、その影響でしょうか。でも、同じ歴史と血を持つ韓国の事情はまた別ものですよね。どうにもよく分かりません。それだけに作家の想像力をかきたてる魅力となるのでしょうか。 この作品で強調されている政府の危機意識の欠如と国土防衛の脆弱さは、気になるところですね。日米安保に頼りきった我が国の安全保障は、いつの日か足元をさらわれるような気がしてなりません。オバマ大統領と安倍首相が並んだ記者会見で、オバマを見つめる安倍さんの目線に不安を掻き立てられます。それにしても、社会不適応の犯罪者集団が日本を救うとは、作者一流の大いなる皮肉でしょうか。

全部を表示
Google Play で手に入れよう
Google Play で手に入れよう
キーワードは1文字以上で検索してください