岩崎弥太郎と三菱四代
幻冬舎新書
河合敦
2010年1月31日
幻冬舎
858円(税込)
ビジネス・経済・就職 / 新書
三大財閥中、三百年以上の歴史を持つ旧家の三井・住友に対し、三菱は明治の動乱に乗じて短期間で巨万の富を築いた特異な会社である。坂本龍馬の遺志を継いで海運業を起こし、権謀術数を駆使してわずか五年で頂点を極めた政商・岩崎弥太郎。日本初のビジネス街・丸の内を建設した二代目・弥之助。戦争景気で業績を伸ばし、昭和の大不況を勝ち残った三代目・久弥と四代目・小弥太。時代に即した巧みな経営術と、現在も続く財界随一のグループ結束力で成り上がった一族、岩崎家四代のビジネス立志伝。
本棚に登録&レビュー
みんなの評価(5)
starstarstarstar
読みたい
3
未読
3
読書中
2
既読
20
未指定
38
登録しました。
close
ログイン
Readeeのメインアカウントで
ログインしてください
Readeeへの新規登録は
アプリからお願いします
- Webからの新規登録はできません。
- Facebook、Twitterでのログイ
ンは準備中で、現在ご利用できませ
ん。
シェア
X
LINE
リンク
楽天ブックスサイト
楽天ブックスアプリ
© Rakuten Group, Inc.
キーワードは1文字以上で検索してください
Readeeユーザー
(無題)
巨大な企業グループ三菱の中核企業と言えば、銀行・重工・商事であろうか。そんな巨大で重厚な布陣を擁する三菱の歴史は、明治から始まったのだった。三井や住友など他の財閥系グループと比較すると歴史は浅い。わずかな間に三菱が三代財閥と称されるまでの発展を遂げたには、何か隠された秘密があったのではなかろうか。三菱の歴史を語る時、政商としての視点を抜きにはできまい。発足まもない明治政府にとって通貨統一は喫緊の課題であった。この為にとった政策が、それまで各藩が独自に発行していた藩札を買い上げて、新札を発行することであった。そのことを事前に察知した弥太郎は、10万両の資金を都合して紙屑同然の藩札を大量に買占め、それを新政府に買い取らせて莫大な利益を得たのだった。この情報を流したのは新政府の高官となっていた土佐藩の元上司・後藤象二郎であった。なんのことはない、今で言えばインサイダーである。次いで、台湾出兵、西南戦争で政府の輸送業務を一手に引き受けた弥太郎は、さらなる利益を手中にしたのだった。 つまり、現在の三菱の礎は海運業にあったのだった。その後、兄の遺志を引き継いだ2代目彌之助は、「海から陸へ」と事業の転換を図った。高島炭坑に加え筑豊の炭坑を次々に傘下に収め、尾去沢など銅鉱山も手中にした。事業の多角化を図った弥之助であったが、三菱の総帥の座にあったのはわずか8年余りであった。その後は、当時28歳の青年にしか過ぎなかった弥太郎の長男・久弥をバックアップする黒子に徹したのだった。3代目久彌は、現在でいう事業部制を導入し、グループの活性化を図った。四代、彌之助の子・小彌太は持ち株会社を設立し、各事業部門を分系会社として独立させた。そうして、戦後の財閥解体まで軍需の膨張拡大を背景に三菱の事業は飛躍的に拡大したのだった。
全部を表示いいね0件