職業としてのAV女優

幻冬舎新書

中村淳彦

2012年5月31日

幻冬舎

880円(税込)

エンタメ・ゲーム / 新書

業界の低迷で、100万円も珍しくなかった最盛期の日当は、現在は3万円以下というケースもあるAV女優の仕事。それでも自ら志願する女性は増える一方だ。かつては、「早く足を洗いたい」女性が大半だったが、現在は「長く続けたい」とみな願っている。収入よりも、誰かに必要とされ、褒められることが生きがいになっているからだ。カラダを売る仕事は、なぜ普通の女性が選択する普通の仕事になったのか?長年、女優へのインタビューを続ける著者が収入、労働環境、意識の変化をレポート。求人誌に載らない職業案内。

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Readeeユーザー

(無題)

-- 2018年01月21日

パチンコ屋にソープランド、そしてアダルトビデオ。賭博に売春、そしてわいせつ、法治国家日本では取締りの対象になるはずだが、それぞれに抜け道が用意されている。しかもパチンコ屋業界やビデオ倫理審査会は取締りに当たる警察の天下り先だというのだから、呆れてしまう。 正義漢ぶって社会悪を追求してみたって始まらない。なぜなら、自分が我が身を安全な所に置いて、ダーティーな世界を覗き見るのをスリリングで面白いと感じる俗物根性に満ちている事を知っているからだ。これは僕ばかりではなく、人間の持つ本性みたいなものだ。覗き見趣味に溢れた週刊誌がいつまでも無くならないのがその証拠だ。もっとも、最近では読者の年齢層が高くなっているようで、高齢者のセックス特集が随分と目立つようになってきた。 高齢者といえば、AVを見ているのも一人暮らしの年金生活者とこだわりを持ったヘビーユーザーに限られるようだ。ネット環境下で海外サーバーに日常的にアクセスしている若者には、当然のごとく無料ないしはコストのかからない選択肢があるからだ。 「苦界に沈む」なんて言葉は本書には全く登場しない。だから、もう死語なのかもしれないが、今も昔も女性が性風俗産業に入るきっかけが貧困である事は否めない。ただ、同じく貧困が原因であっても、昔と今では少しばかり違う風景を見ることになる。昔は貧困を始め家庭に問題のある子女がAV女優への道を歩んだのだが、今は何の問題もない家庭に育った女性が進学や就職で上京したのはいいが、食べていけなくなってこの道を選択しているのだという。だから普通の性経験の乏しい女の子が意外に多いのだそうだ。女性の貧困や子供の貧困が問題視される昨今であるが、セーフティネットが整備されていない弱肉強食を何とも思わない今の世の中にやり切れなさを感じる。 もう一つ興味深いのは、AVの世界に入った女性がその世界で承認欲求を満足させている点だ。AV女優といえども、人気さえあればアイドルと変わりなくチヤホヤされるし、何よりも収入が増える事で「必要とされている。居場所がある」と満足するのだそうだ。AV女優は肉体の全てを晒して、カメラの前で性行為を行う職業である。今ではこの業界も斜陽で、完全に商品と化したAV女優に求められるスペックはドンドン高くなり、狭き門になっているようだ。

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