林芙美子新装版
Century Books 人と作品 15
福田清人 / 遠藤充彦
2018年4月30日
清水書院
1,320円(税込)
人文・思想・社会
山口県下関に行商人の子として生まれ旅の空と木賃宿で成長した林芙美子は、宿命的に放浪者であった。希望にもえて上京した芙美子は激動する社会の中で転々と職をかえ、アナーキイな詩人たちとの交友や、愛の破局や、種々の苦悩を手記に書きつづり、『放浪記』として発表、一躍文壇におどり出た。さらに『清貧の書』『稲妻』とその地位をきずいた。昭和の暗い時代を庶民と共に歩みつづけ、戦後の混乱期にも人間の生きるべき道を探し求めて、『晩菊』『水仙』を発表、やがて総決算ともいうべき『浮雲』を描き、昭和二十六年六月、すべての力が尽きたように生涯を閉じた。大正、昭和の激動の時代に人間の生きるべき道を求めつづけた林芙美子の文学は、その苛烈な生涯と共に長く人々の心をうつものである。
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