
最低の軍師
簑輪諒
2017年9月13日
祥伝社
814円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
永禄八年、上杉輝虎(謙信)が義を掲げ、下総国臼井城に侵攻を開始した。総勢一万五千といわれる上杉軍に対し、臼井の兵は二千ほど。後ろ盾となる北条家からの援軍は、わずか二百五十余であった。抗戦か降伏か、紛糾する城内をまとめるため、北条の武将松田孫太郎は道端の易者を軍師に仕立てた。白井浄三である。ところが、浄三は想像を絶する奇策を次々と画策し…。
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乱世の中で生きる意味
starstarstar 3.8 2020年03月09日
star
本作は、歴史史料上、臼井城攻城戦にしか出てこない幻の軍師、白井入道浄三を描いた作品。
後の上杉謙信による関東出兵において、城方の軍師として活躍する姿を描く。
読み始め、松田孫太郎と浄三の対比的だが軽妙なやり取りがとても面白い。情熱的で自分の信じる正義に真っ直ぐな孫太郎と、頭が周るが故に世の中を退廃的に見る浄三。
そんな浄三は、浄三自信に言わせれば孫太郎の無謀で他人が表には出さない卑しくもある本音を全く介さない行動を見て、少しずつ心を開いていく。当初はバカに教えてやるだけといった意味合いなやり取りが徐々に浄三の過去に触れ、浄三の中で孫太郎の言葉が浄三の心を解かしていく。
「自分の最も大事な人さえ守れず、危機を察することも出来なかった、そんな最低の軍師になんの価値があるのか。276」
↑こんな言葉で過去の自分を否定し、目を背けようとする浄三に、孫太郎はこう語りかける。
「軍師になってくれ、浄三。私ではなく、この城のための軍師に。281」「共に戦ってくれ、浄三。283」
こうして浄三は自信が支えるべきあらたな人間を見つけ、仇とも言える上杉軍に戦の常道を無視した戦いかたを見せつける。
本作は、ただの痛快小説と言いくるめるのは惜しいと思う。この作品の大きなテーマは、「乱世の中でも必死で生き抜こうとする人間の姿」をまざまざと描く。
「主家の都合を正義と勘違いした馬鹿な旗本。大局を見ることも出来ない田舎城主。神に仕えながら神の言葉を偽り、策略に荷担した神主の娘。419」そして、自分の生活のために国の大事を利用して少しでも肥えようとする百姓に、自信の大義のためなら罪なき民の殺戮を憚らない軍神。
だが、そんな人々の些細な心情から生まれる"愚行"とも言うべき行為。それが人間の歴史を紡いできたのだと。そして、それはこれまでもこれからも。
たった4ヶ月ちっぽけな田舎城で起きた戦で、そんな人間の壮大な営みまで妄想できる、そんな作品である。
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taboke
(無題)
特に歴史に詳しくなくても読める。一気に読める。 北条vs上杉。主人公は北条方なのだけれど、上杉謙信がまったく悪者として書かれていない所も秀逸! 読んでよかった。
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