スーツケースの半分は
近藤史恵
2015年10月8日
祥伝社
1,540円(税込)
小説・エッセイ
相棒は青いスーツケースただ一つ。今日も残りの半分に、温かいドラマが詰まってゆくー人生は、一人旅。明日はどこへ行こう?心がふわっと軽くなる、幸せつなぐ物語。
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青いスーツケースを見ると幸せを運んでくれるのではと考える作品
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(無題)
海外旅行の行きと帰りの荷物の量はどちらが多いかと言えば、帰りに増えている人が九割以上であろう。何故なら、お土産を買うからである。観光や食事とともに買い物は、旅行の大きな楽しみのひとつである。行きも帰りも変わらない、という人はよほどの旅の達人か、一切買い物をしない、変わり者である。私の友人にそんな人が1人いる。彼とは3度ほど海外旅行に一緒したが、荷物は常に機内持ち込みのボストンバッグひとつである。買い物は一切しないし、どこに行っても日本語以外話さないのだか、豪傑である。本人曰く「ちゃんと通じるよ」だって。さて、本書の題名である。「スーツケースの半分は」なんて思わせぶりである。最初から半分は空にして行って、帰りはお土産で満たしなさい、って事だろうか? 本書は青い革のスーツケースをめぐる9つの連作短編集である。人から人へと渡るそのスーツケースと旅をする女性達の心の揺れを描いている。大学時代の同級生・真美、花恵、ゆり香、悠子は30歳を目前にした今も仲良し4人組である。明るい将来を単純に信じられる程は若く無いし、これから先の人生に目処がついちゃうほど年取っているわけでは無い。それが30歳である。だから、今の生活を固定化させる事に焦燥感を抱いているのだろう。 4人の中で最も臆病で保守的な真美が1番に結婚したのは、意外でもあり、また当然とも思われた。新婚生活は穏やかで不満は無いが、ニューヨークでミュージカルを見たいとの夢は実現したいと思っていた。毎年の香港旅行で最高級ホテルに宿泊する花恵には、鬱屈した思いがあった。この歳になっても、ゆり香はバックパッカーであった。エリートサラリーマンのと結婚で人生が大きく変わるかと考えて、アブダビに旅立つのだった。フリーライターの悠子は、仲間内でキャリアウーマンっぽく振舞っているが、実はライターとして瀬戸際に立っていたのだった。今回も赤字覚悟のパリ取材旅行である。 彼女たちは、旅に出る事で本当の自分が見えてくる。だから、旅の帰りはスーツケースの空いた半分に取り戻した自分の心を詰めて帰ってくるのだった。ここまでで4話。物語はさらに続く。
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スーツケース、つむぐ物語。 いろんな国といろんな出会い。そして思い出が、その人にとってどうなるか。楽しく読めた。
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