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starstarstar 3.0 2021年07月10日
小説と論考の混在したちょっと不思議な趣の本。 表題となっている「歳三の写真」は箱館で歳三が写真に撮られるまでの経緯、心理の逡巡を小説として描いたもの。 「朝涼や人より先へ渡りふね」は伊庭八郎の『征西日記』のやや文体的な考察。 「重い羽織」は新選組の隊服である例の羽織りのちょっと記号学的な分析だが、制服を定めることで外への宣伝効果となると同時に内へも集団統制の効果をもたらしたと考察している。 「高台寺残党」:赤報隊に組み入れられた高台寺残党の末路。所収のうちでは最も長い史論だが、テーマにあまり興味がないせいか、やや退屈。 「「斜」の視線」:土方の「書体」「手蹟」の分析。歳三の書体に見られる特徴を斜の視線と規定したうえで、それを兵法・謀略および剣法ともないしは生き様そのものとも関連付けてしまうあたり、やや牽強付会の感を免れないが、なるほどと思ってしまう面白さがある。 著者の草森さんはデザインについての論考をたくさんものしており、それもあってか本書中でも新選組にかかわるもの、についての視覚的分析が多いという感想をもった。論考の類はあまり読んだことがなかったため、これもなかなかに新鮮でよい。
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小説と論考の混在したちょっと不思議な趣の本。 表題となっている「歳三の写真」は箱館で歳三が写真に撮られるまでの経緯、心理の逡巡を小説として描いたもの。 「朝涼や人より先へ渡りふね」は伊庭八郎の『征西日記』のやや文体的な考察。 「重い羽織」は新選組の隊服である例の羽織りのちょっと記号学的な分析だが、制服を定めることで外への宣伝効果となると同時に内へも集団統制の効果をもたらしたと考察している。 「高台寺残党」:赤報隊に組み入れられた高台寺残党の末路。所収のうちでは最も長い史論だが、テーマにあまり興味がないせいか、やや退屈。 「「斜」の視線」:土方の「書体」「手蹟」の分析。歳三の書体に見られる特徴を斜の視線と規定したうえで、それを兵法・謀略および剣法ともないしは生き様そのものとも関連付けてしまうあたり、やや牽強付会の感を免れないが、なるほどと思ってしまう面白さがある。 著者の草森さんはデザインについての論考をたくさんものしており、それもあってか本書中でも新選組にかかわるもの、についての視覚的分析が多いという感想をもった。論考の類はあまり読んだことがなかったため、これもなかなかに新鮮でよい。
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