かっこうの親もずの子ども

予想通りなところもあり、そうではないところもあり。 初めはしばらく、よくあるタイプの若い文章上手な作家かなと思って読んでいた。最近、結構こういうことがある。若い女性作家で、扱う題材も恋愛や家族や仕事や悩みや、いろいろあるんだけれどそれがまた似通っていて、何だか区別がつかないのだ。読んでいるときは、それなりに面白く読ませる力もあるのだが、あとに残らないというか、読んだあと、思いだせない。こんなことは、私だけなのか？ この小説の題材は働くシングルマザーの苦労、不妊治療、離婚の原因も不妊の原因にからみ、周りの子育て中の母親も描かれ、老いた母との軋轢、と各種取り揃えてある。 しかもその語り口が上手で、展開もテンポよく引き込まれる。世の中は甘くない。シングルマザーの苦労は丁寧に具体的に描かれ、厳しい現実を突きつけられる、が、そこから少しずつ予想と違う方向へ。納得できなかった、AIDの精子提供者探しの気持ちは、統子の中でうまく着陸する場所を見つける。肯定し、受け入れること。自分が納得すればいいのだ。

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