太陽が破裂するとき
統合失調症の謎
クリストファー・ボラス / 館 直彦 / 坂井 俊之 / 下平 憲子 / 橋爪 龍太郎 / 橋本 貴裕
2017年11月10日
創元社
3,520円(税込)
人文・思想・社会 / 医学・薬学・看護学・歯科学
統合失調症患者の多くが、不要な入院治療や過剰な投薬によって人間性を剥奪されていることに対して、ボラスは、彼らはもっと人道的な扱いによって援助されるべきであり、初発直後に適切なサイコセラピーを受けられれば、症状を悪化させることはなく、場合によっては発症前の状態に戻すことさえ可能であると言う。本書は、1960年代以降、統合失調症患者たちと関わってきた、著者の個人的な体験を描きつつ、好発年齢の時期に、どのように発症に至るのかについても自身の理解を示している。 最近まで、統合失調症は100%生物学的な疾患であると認識されてきたが、今日、オープンダイアローグが話題になっていることでもわかるように、その概念自体が流動化している。力動的な理解の重要性が再び見直されるようになってきており、精神病の精神療法として「対話すること」の意義が注目されるようになっている。本書はそれに先鞭をつけたものと言えるだろう。 精神医学では薬物療法が中心であり、臨床心理学領域では認知行動療法(CBT、SST)が隆盛である現在、本書は、力動的心理療法や精神分析の復権を呼びかける稀有な書であると同時に、患者や家族にとっても、病気を理解する助けになる一冊でもある。脳や伝達物質で病因や症状を説明されると理解はしやすいものの、所詮は「薬以外ではどうにもできないもの」という諦念にしか至らないが、そうではないことを著者は丁寧に解説してくれている。 ボラスの邦訳はこれまで数冊出ているが、それらは全て精神分析の専門書。本書では分析用語はほとんど使われていないため、ボラス理論を知らなくても、十分に理解できる内容になっている。 目 次 謝 辞 読者への覚え書 序 章 第1 部 1 壁にぶつかって 2 アメリカの狂気 3 凍結精神病 4 フリースピーチ 5 魔法のベンチ 6 独特な論理に耳を傾けること 7 こころを吹き飛ばす思考 第2 部 8 歴史から神話へ 9 そっとしておくこと 10 メタ性愛 11 声が聞こえること 12 知っていると想定すること 13 こころを隠すこと 14 考えをはぐらかすこと 15 身体的な表現 16 頭を働かせなくすること 第3 部 17 あなたはどこから来たの? 18 変化 19 離島のルーシー 注釈つきの参考文献 索引
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