治療的面接の工夫と手順

人間学的力動論の観点から

増井 武士 / 池見 陽

2020年8月20日

創元社

2,750円(税込)

人文・思想・社会

精神療法とフォーカシングで著名な二人の専門家が、自身の臨床をめぐって対談。技法や知識の習得ばかりを重視する心理臨床の世界に疑問を投げかけ、「一人の人間」として患者に向き合うことの重要性を縦横無尽に語り合う。 「『真っすぐに治る』ということはあり得ない」「教師とか一般の人と違って、僕たちには『何でもあり』で善悪はないんです」「知っていることは全部いったん空(から)にして、その空の中で聞いていると、どうしてかわらないけれど、こちら側に響いてくるものがある」など、長い臨床経験と専門性に裏打ちされた言葉の数々は、心理職に携わっている者、これから心理職を志す者に深い示唆を与えてくれる。 はじめに 1 心理臨床面接の基本的命題 1 面接という行為の基礎の基礎──描き尽くせない面接の「核」と「私」 2 心の位相について 3 本能ではなく「人のまっとうな願い」 4 生命レベルの自然治癒能力について 5 「中立」はあり得ない──治療関係における分離と融合 2 治療論と症状論 1 「理論モデル」と「サービスモデル」 2 最悪を一〇〇にしたらー状態曲線を描く 3 因果・意味・関係(体験モデル)についてー症状への体験の仕方が問題 3 面接初期の配慮 1 どこに座れば、話しやすいかー生きた「間」の感知について 2 視線を外せる配慮と来院する副作用について 3 なぜ、生活史を聞くのかー共感としての生活歴をめぐって 4 体験と追体験は対になっている 5 治療者の素直さの重要性 4 診断と見立てについて 1 医学的診断と精神療法的な診断について 2 見立てについてーーインテイクの功罪 3 伸びしろを広げるのが私たちの仕事です 5 「良くなる」ということ 1 「良くなる」ことのイメージ修正だけで良くなることもある 2 「広い空間づくり」のさまざまな効用 3 「尽くすこと」の功罪 4 面接における融通無碍 5 秘密のワーク 6 言葉とその治療的交流 7 心のゲシュタルトとデザイアーの発掘 8 願いのワーク 6 常識への疑問といくつかの技法 1 生身の私でいることの重要性 2 話すことの副作用 3 自己完結の弊害 4 攻撃性の取り扱い 5 精神分析タームの取り入れ方 7 説明すること 1 一般論としての説明 2 人格論のもつ弊害 8 過敏性という本質病 1 命のレベルの混乱が押し寄せてくるとき 2 表面的適応の重要性 3 ある事例について 9 面接における意味と無意味の反比例 1 多々しすぎる間違いについて 2 場面構造での冷却 3 成り行きに対する絶対的な信頼 10 自殺予防について 1  共振れすること 2  死ぬことと死にたいという気持ちーーどう死にたいのかを明確にする意味 3  遺書を書くこと 4  死にたいとき、メールをすること 5  治療者が変わるときが危ない 6  入院することーー治療者はついてまわれない おわりに 文献リスト

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