大阪時事新報の研究

「関西ジャーナリズム」と福澤精神

叢書パルマコン05

松尾 理也

2021年7月16日

創元社

4,620円(税込)

人文・思想・社会

明治38年に福澤諭吉が生んだ一流紙『時事新報』の「分身同体」として創刊された『大阪時事新報』。同紙は、大阪発祥の大衆紙『朝日』『毎日』の牙城を脅かす存在とはなり得なかったが、「関西ジャーナリズム」のもう一つの姿を体現していた。啓蒙主義的市民主義を掲げて、関西に市民社会の移入を試みた名門紙の挫折の歴史を追うことで、新聞メディア衰退期の今こそ、その立ち返るべき地点をも逆照射する画期的な関西メディア史。 ◆はじめに 関西ジャーナリズムの系譜学 「勝ち組」バイアス/『大阪時事新報』が照射するもの/「外部」の揺らぎ/新聞の没落 ◆序章 実業の都と福澤精神 時事新報ー「日本一」の高級紙/大阪時事新報ー福澤精神を西に/「悪役」大阪紙/規範としての「市民感覚」 ◆第一章 大関西圏構築の夢ー帝国を疾駆する「汽車博」 新聞の量的拡大と東西相互進出/三つの汽車博/「関西」の広域性/その他の移動博/「特殊の発達」始まる ◆第二章 夕刊発行と時間軸の拡大ー化け込み記者・下山京子 明治末期大阪の新聞界/婦人記者、下山京子/「化け込み」取材/大阪ゆえの革新 ◆第三章 リベラルな場としての大阪社会部ー主義者・難波英夫 「社会部」という世界認識の方法/理想と正義を求めて/リベラルなジャーナリストたちの培養土 ◆第四章 距離を埋めるテクノロジーー「東京電話」 コミュニケーション・テクノロジーの発達/日比谷焼打事件/排日移民法報道/関東大震災と「声の文化」 ◆第五章 福澤精神の射程ー主筆・土屋大夢がみた大衆 大衆社会と「大大阪」/大正後期時事、大阪時事と福澤精神/土屋元作の人物と生涯/パーソナル・ジャーナリズムの終焉 ◆第六章 “二流紙”の日本主義ー「メディアと戦争」異聞 昭和初めの大阪とメディア/日本主義化と下降プチブル/ふたりのベストセラー作家/「最後の羽ばたき」 ◆第七章 「地方」の動員ー新聞統合と大阪新聞の誕生 都市と地方/ロンドン・タイムスをつくれ/新聞統合ーその「公」と「私」 ◆第八章 よみがえる大阪時事ー戦後の復刊 原点としての占領期/時事、大阪時事復刊/広域紙としての大阪時事ーGHQ資料から/墓碑銘 ◆おわりに 規範論を越えて 「関西ジャーナリズム」の読み替え/「小文字の政治」と福澤精神/対話へ ◆あとがき 注 『大阪時事新報』「関西ジャーナリズム」関連年表 参考文献一覧 人名索引

本棚に登録&レビュー

みんなの評価(0

--

読みたい

0

未読

0

読書中

0

既読

0

未指定

0

書店員レビュー(0)
書店員レビュー一覧

みんなのレビュー

レビューはありません

Google Play で手に入れよう
Google Play で手に入れよう
キーワードは1文字以上で検索してください