本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」

「戦後再発見」双書

前泊博盛

2013年2月28日

創元社

1,650円(税込)

人文・思想・社会

原発再稼働、不況下の大増税、オスプレイ強行配備、TPP参加、憲法改正…日本はなぜ、こんな国になってしまったのか?「戦後日本」最大の闇に迫る。

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とも

(無題)

-- 2018年01月21日

日米地位協定を日本とアメリカという主権国家どうしが結んだ安全保障条約の細則と理解していると大きな間違いを犯す、本書冒頭でこう指摘されたショックは隠しきれない。では、日米地位協定とは何であろうか。サンフランシスコ講和条約や日米安保条約には書き込めない我が国を最も属国的な立場に押し込むための「秘密の了解」、これこそが日米地位協定だったのだ。なぜ協定に押し込む必要があったかと言うと、条約と違って協定には「国会の承認や国連への登録が必要ない」からだ。そして、この協定に込められたポイントは、「アメリカが日本に望む数の兵力を、望む場所に、望む期間だけ駐留をさせ、何の制約もなく行動する権利を確保する」ところにあった。ダレス国務長官自らがこう明かしている。 このため、日本国内で在留米軍の行動が制限されないように、国内法には適用除外が設けられており、米軍の自由は法律的に担保されているのだ。日本国民は、憲法を頂点とする法体系の中で生活しており、法治国家として秩序が維持されていると考えている。その一方で、在留米軍には治外法権が与えられており、思いのままに振る舞う事が可能なのだ。属国か植民地でもない限り、こんな国は世界中に存在しない。つまり、日本は主権国家とは言えないのである。この国の法体系をつまびらかにしていけば、日米地位協定が憲法の上位に位置づけられるのである。この事が権力者の口から公式に発言されることはない。それだけに怖いことである。 これは、何もここで勝手なことを言っているわけではなく、裁判所による基地爆音訴訟判決にその証拠を明確に見ることができるのである。この訴訟は米軍機の飛行差し止めと損害賠償を求める裁判であったが、判決では爆音被害を認めて政府に損害賠償を命じたものの、米軍機の飛行差し止めは棄却した。つまり在留米軍が人権侵害を犯しても、日本政府や司法にはそれを阻止する事はできない、と公的に認めたのだ。何ともやりきれない限りである。これだったら、アメリカの51番目の州になった方がよっぽど恵まれている。少なくともアメリカの法律で守られるのだから。

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