売文生活
ちくま新書
日垣隆
2005年3月31日
筑摩書房
858円(税込)
新書
投稿生活をへて作家・ジャーナリストとなった著者のみならず、物書きにとってお金の問題は避けて通ることのできない重大事だ。本邦初の“フリーエージェント宣言”をなし遂げた文豪・夏目漱石、公務員初任給の一〇〇倍は稼いでいた「火宅の人」檀一雄、「底ぬけビンボー暮らし」に明け暮れた作家・松下竜一…。明治の文士から平成のフリーライターまで、物書きたちはカネと自由を求めて苦闘してきた。本書ではそうした姿を、出版界の“秘部”とも言いうる「原稿料事情」を通じて描き出す。類例なき作家論にして日本文化論である。
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2005年発行
2005年発行。「3度の臨死体験と失業3回を経て」文筆活動に、というただごとでないプロフィールの筆者が、日本で「売文生活」すなわち文章を書くことの対価で生計を立てることにまつわる事情を赤裸々に書いています。夏目漱石は教師として働きながら小説を書き、さらに創作に専念するために朝日新聞社に入社しましたが、明治時代に文学者を目指す人にとって、教職と新聞社とは「選択肢はそれ以外には、ほとんどありえません」というほどのものでした(新聞社は発表の場を得るという意味からも重要)筆者は発注を受けると「おいくらですか」と聞く人として知られているそうで、物書きには「賭博者と経営者の才能」が必要と言い切ります。本書には多くの文士、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、放送作家、ノンフィクション作家、小説家などが登場しますが(2004年の5月にイラクで拉致・釈放されたカメラマンやライターまで)さいごは樋口一葉で、その「お金か自由か」の苦しい生涯(享年24)を過去のものとし、これからの売文生活のスローガンは「お金も自由も」だといいます。ホントかな〜
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