旧体制と大革命
ちくま学芸文庫
アレクシー・アンリ・モリス・クレレル・ト / 小山勉
1998年1月31日
筑摩書房
1,650円(税込)
人文・思想・社会 / 文庫
フランス革命後の社会は、旧体制(アンシャン・レジーム)の社会から截然と区別されるー通説と化してしまったこの命題を否定するところから、トクヴィルは出発する。中央集権のもとでの行政の専制化、画一的支配の浸透、パリ一極集中、こうした要素は革命がもたらしたものではなく、すでに旧体制のなかに用意されていたものだった。近代デモクラシーは必然的に平等化への道を進んだが、公的なものとの関わりを保障する「政治的自由」は、旧体制時代にもはや息の根を止められてしまっていた。近代は「画一化」と「自由の窒息」を引き受けなければならないのか?現代社会に対する透徹した予見と病理学的診断を含んだ政治思想史の金字塔。
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旧体制と革命の連続性
「アメリカのデモクラシー」でアメリカの民主主義から見て取られた教会と国家の分離、身分の平等(第三身分の台頭)といったデモクラシー的要素や、革命後にも見られた行政の専制化のような現象は、すでにアンシャンレジーム時代から存在したのであり、革命はそれを目に見える形であらわしたに過ぎないと喝破する。また、革命はそのような背景で国民の情動により生じたものであり、革命後に皇帝や王政が繰り返し出現するような混乱は、アンシャンレジーム時代にすでに自由な政治参加の精神が抑圧され、「国家に頼る」という「アメリカのデモクラシー」でアメリカには見て取らなかったフランス国民の精神によるものであるとする。この政治的自由の精神なきフランスで永続的なデモクラシーが可能なのか、トクヴィルは答えを出すことなく、この世を去った。
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