
中世賎民の宇宙
ヨ-ロッパ原点への旅
ちくま学芸文庫
阿部謹也
2007年2月7日
筑摩書房
1,430円(税込)
人文・思想・社会 / 文庫
差別はどこから生まれてくるのだろうか?ヨーロッパにも職業差別・身分差別は存在したのだろうか?本書は、『ハーメルンの笛吹き男』で西洋中世の被差別民の存在に初めて光をあてた著者が、賎視と身分差別の問題に正面から取り組んだ、阿部史学の代表的著作である。西洋中世において、キリスト教の浸透による時空観念の一元化と死生観の転換によって、畏怖の対象であった職業を賎視するようになる過程を考察する。「ヨーロッパ中世賎民成立論」のほか「ヨーロッパ・原点への旅」「死者の社会史」等も収め、“小宇宙”と“大宇宙”をキーワードに西洋中世の人々の心的構造の核に迫る。
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著者の専門分野である賤民論の他に、死生観や音楽、時間・空間意識などの変容を論じた数篇を一つにまとめた論集。先行研究の知識がないので、ところどころ難しかったがそれでも全体に非常に興味深く読んだ。各章はそれぞれ独立した論考だが、繋がりがある。中世の人びとは小宇宙と大宇宙という二つの宇宙の中に生きていたが、著者によれば賤視される人びと(賤民)というのは、ほぼ例外なく両者の間に位置づけられるということらしい。ところどころ、比較文化的な考察も含まれていてそれも実に興味深い。網野善彦さんとの対談も読んでみたくなった。 「ヨーロッパ・原点への旅」: 時間意識と空間意識の変容。そして、モノを媒介とした人間同士の関係の変容について。 「死者の社会史」:死生観の変化。前に読んだ『西洋中世の罪と罰』と少し重複している。 「ヨーロッパ中世賤民成立論」:この本の肝。 「中世ヨーロッパにおける怪異なるもの」:講演を書き起こした論考なのか口語体で一番わかりやすい。美術に興味があるので、逆遠近法の話なども秀逸。 「ヨーロッパの音と日本の音」: 日本には騒音が満ち溢れている。
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(無題)
著者の専門分野である賤民論の他に、死生観や音楽、時間・空間意識などの変容を論じた数篇を一つにまとめた論集。先行研究の知識がないので、ところどころ難しかったがそれでも全体に非常に興味深く読んだ。各章はそれぞれ独立した論考だが、繋がりがある。中世の人びとは小宇宙と大宇宙という二つの宇宙の中に生きていたが、著者によれば賤視される人びと(賤民)というのは、ほぼ例外なく両者の間に位置づけられるということらしい。ところどころ、比較文化的な考察も含まれていてそれも実に興味深い。網野善彦さんとの対談も読んでみたくなった。 「ヨーロッパ・原点への旅」: 時間意識と空間意識の変容。そして、モノを媒介とした人間同士の関係の変容について。 「死者の社会史」:死生観の変化。前に読んだ『西洋中世の罪と罰』と少し重複している。 「ヨーロッパ中世賤民成立論」:この本の肝。 「中世ヨーロッパにおける怪異なるもの」:講演を書き起こした論考なのか口語体で一番わかりやすい。美術に興味があるので、逆遠近法の話なども秀逸。 「ヨーロッパの音と日本の音」: 日本には騒音が満ち溢れている。
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