星間商事株式会社社史編纂室

ちくま文庫

三浦しをん

2014年3月31日

筑摩書房

616円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

川田幸代29歳は社史編纂室勤務。姿が見えない幽霊部長、遅刻常習犯の本間課長、ダイナマイトボディの後輩みっこちゃん、「ヤリチン先輩」矢田がそのメンバー。ゆるゆるの職場でそれなりに働き、幸代は仲間と趣味(同人誌製作・販売)に没頭するはずだった。しかし、彼らは社の秘密に気づいてしまった。仕事が風雲急を告げる一方、友情も恋愛も五里霧中に。決断の時が迫る。

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書店員レビュー(1)
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長江貴士

書店員

三浦しをん「星間商事株式会社社史編纂室」

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0
2019年12月25日

みんなのレビュー (2)

Readeeユーザー

(無題)

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4.2 2018年01月26日

本書には二つの軸があります。ひとつは主人公の幸代が腐女子であり、腐女子の日常が活写されていることです。私のような年齢の人間に腐女子と言われても、『ああ』とか『そうそう』と感覚的に理解することは出来ません。婦女子なら分かりますが、腐女子とはどんな女子なのか、著者が自らの感覚で書いている一節が本書にありますので、紹介しますね。 「かわいいなってみんなに思われて、お姑さんにも気に入られて、子どもを二人生んで、カルチャースクールでフランス語か手話を習って、それを活かして家事の合間に少々の収入を得て、週末にたまに夫と二人でカフェでランチしたりすること」。これを幸せと思っている女子を「げっへっへ」と笑う人なんだそうです。 川田幸代は、サラリーマンのゲイ小説を書いています。少年愛ではなく、中年サラリーマンなのが腐女子としての幸代らしさなのだそうです。どれだけアブノーマルな性的嗜好の持ち主なのか想像してしまいますが、それはあくまで小説の世界だけで、実生活では旅する事を人生の目的にするフリーターの青年と同棲し、ちっちゃな幸せを大事にする普通の女子です。 幸代はゲイの小説を同人誌に掲載し、販売しています。販売と言っても採算ベースには程遠く、趣味あるいは生き甲斐と言っても良いかも知れません。ですから幸代は、星間商事株式会社のOLとしての本業を持っています。幸代は実は優秀なんですが、第一線の商社マンにいささか疲れを感じ、しばらく静かに暮らしたいと申告したら、なんと社史編纂室へとばされました。 言って見れば若いOLの身で窓際族となりました。けれども、彼女にとってはもっけの幸いです。社史編纂室のユル〜い空気は、趣味の小説執筆には最適の環境でした。ところがです、昼行灯にしか見えない課長が幸代の小説のコピーを見てしまったところから、話は大きく動き出します。会社の経営体制をも揺るがしかねない事態へと発展していくのです。これがこの作品のもう一つの軸です。 星間商事株式会社は中堅どころの商社です。御多分に洩れず高度経済成長期に時流に乗って業績を大きく伸ばしました。今はその余禄で喰っていると言っても良いほどです。幸代達社史編纂室のメンバーの資料収集作業の中で、東南アジアの某国を舞台に星間商事の一大スキャンダルとなりかねない事件が次第に明らかになっていきます。ま、その辺がドタバタ風に綴られたエンタテインメント小説です。

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Readeeユーザー

(無題)

starstarstarstarstar 5.0 2018年01月09日

社史編纂室っていう 60年目の記念社史を編む部署やねんけど 総員4名で くっそやる気無い定年まじかの課長 女遊びはげしい矢田 お菓子大好き巨乳みっこちゃん 趣味はマンガオタクの川田幸代 みんなやり手で仕事できるけど 会社に歯向かったり、やる気を見せなかったり、それぞれの理由で社史編纂室に左遷されて 窓もなくかび臭い狭い汚い事務所で社史を編むべく資料漁ったりしてる 社史を調べていくうちにどうしても明らかにならない空白の数年があって 当時会社にいた人たちにインタビューしても、そのことには首を突っ込むな、としか言われない そして4人は、会社の秘密を知ることになる、、、 っていうコメディサスペンスみたいなん

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