パパは今日、運動会

ちくま文庫

山本 幸久

2015年2月9日

筑摩書房

836円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

五反田にある社員200人ほどの文房具会社が運動会を開いた。いい年をして独身寮にいる名物男、社内の嫌われ者のおべっか男、ヨン様ばりのモテモテ男、「ママ」の異名をもつ色っぽい社長秘書、べらんめいの姉御肌…会社にはじつにさまざまな人材がいた!普段とは違う状況下で彼らの人生がほの見え、会社生活の新展開もほの見える。3年後のあの人を描く書下し短篇を追加。

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Readeeユーザー

(無題)

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3.3 2018年01月26日

社内運動会を通じて社内の人間模様が描かれています。ところで、今時、社内運動会をする会社ってありますかね。もう一つ、社内行事で廃れてしまったものに社員旅行がありますよね。昭和の時代はどこの会社も社員旅行に行ったものでした。大抵は観光バスを仕立てて、温泉地への一拍旅行でした。バスの中から呑み初めて旅館に着けば無礼講の宴会が待っていました。宴会が終わって部屋で二次会となれば、呑んでばかりで温泉に入らないで帰ってきた、なんて人もいましたな〜。 それはともかく、創業五十年のカキツバタ文具株式会社は、総務部庶務課の武藤猛の発案で、社員および派遣とパートを含めたほぼ全員の150名で第一回運動会を開催することになりました。運動会の種目毎に章立てがされていて、視点と登場人物が変わりますので、一種短編連作の趣きもあります。次々と登場する人物のキャラがたっているので、目まぐるしくほどです。 例えばコスプレ好きので運動会の実行委員長・武藤、社長をよいしょしまくる千葉人事課長、パートおばちゃん達のアイドル、ムキムキ自慢の弓削等々です。登場人物の男たち、野心もなければ出世欲もなし、定年まで勤めて課長留まりと言ったユルユルの人達です。大体がこの会社自体、優柔不断な二代目社長、女性社員の肩を揉みたがるセクハラギリギリの重役、オヤジギャグを連発する上司、そんな男たちに媚を売る頭の悪い女子社員ばっかりです。ま、そうはいっても、みんな人はいいんですね。 そんな中で嫌われ者も居るにはいます。そのうちの一人が仕事もテキトーで不倫しまくっているくせに、妻と娘には愛されている額賀です。この額賀が借り物競走で引いた札が「愛人」。そして何を思ったか、家族が見ている前でかつての愛人、社長秘書の富田の元に真っしぐらです。もう1人、全ての社員から嫌われているのが千葉人事課長です。ところが最後の最後にこの千葉が大変身するんですね。 ともあれ、こんなカキツバタ文具みたいな会社、今のように厳しい時代にあり得ないと思いますが、飛び抜けた才能や能力を持たない善意に満ちた普通の人達ばかりの会社が生き延びていける日本であれば良いな〜と思ったものでした。

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