陸軍将校の教育社会史(上)

立身出世と天皇制

ちくま学芸文庫 ヒー19-1

広田 照幸

2021年7月12日

筑摩書房

1,320円(税込)

人文・思想・社会 / 文庫

戦時体制を支えた精神構造は、「滅私奉公」ではなく「活私奉公」だった。第19回サントリー学芸賞を受賞した教育社会史の傑作が、待望の文庫化!===天皇制イデオロギーの「内面化」が、戦時体制を積極的に担う陸軍将校を生み出したというのは真実か。本書は、膨大な史料を緻密に分析することを通じて、従来の前提とされていた言説を鮮やかに覆していく。戦前・戦中の陸軍将校たちは、「滅私奉公」に代表されるような従来のイメージとは異なり、むしろ世俗的な出世欲をもつ存在だった。秩序への積極的な同化こそが、陸軍将校を生んだ。上巻には、「〈序論〉 課題と枠組み」から「〈第2部〉 陸士・陸幼の教育」第2章までを収録する。第19回サントリー学芸賞受賞作、待望の文庫化。===【目次】(上巻)文庫版のためのまえがき〈序論〉 課題と枠組み第一節 問題意識/第二節 対象と研究枠組み〈第1部〉 進路としての軍人第一章 陸士・陸幼の採用制度の変遷と競争の概観   第一節 はじめに/第二節 学力と学歴/第三節 納金制の変遷/第四節 志願者数の変動/第五節 志願・採用者の学歴/第六節 小括第二章 下士から将校への道   第一節 はじめに/第二節 建軍期の下士制度/第三節 一八八一年の諸改革/第四節 下士と将校の遥かな距離/第五節 小括第三章 進学ルートとしての評価   第一節 はじめに/第二節 志願・採用状況と地域分布/第三節 中学の学校階層と陸士志願/第四節 昭和初頭までの概括/第五節 戦時期における軍学校への進学/第六節 小括第四章 将校生徒の社会的背景   第一節 課題/第二節 将校生徒の族籍/第三節 出身家庭の職業/第四節 出身家庭の社会経済的地位/第五節 小括〈第2部〉 陸士・陸幼の教育第一章 教育目的とカリキュラム   第一節 はじめに/第二節 教育目的と方針/第三節 カリキュラム/第四節 小括第二章 教育者と被教育者   第一節 はじめに/第二節 形式化・形骸化した訓話/第三節 国家我と立身出世/第四節 生徒の作文から(その1)/第五節 生徒の作文から(その2)/第六節 小括

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