戦争体験
一九七〇年への遺書
ちくま学芸文庫 ヤー26-2
安田 武
2021年6月14日
筑摩書房
1,320円(税込)
小説・エッセイ / 人文・思想・社会 / 文庫
戦争体験の伝承ということ、これについては、ほとんど絶望的であるーー。少年期を日中戦争の戦時下に過ごし、大学在学中に徴兵され、ソ連軍の捕虜となり復員。異常で圧倒的であり、自らの現在を決定づけた戦争体験とその伝承の難しさについて、戦中派である著者が切々と書き綴る。戦後多くの知識人が、体験を思想化・体系化して後世に伝え、反戦・平和を訴える義務と責任を説くなかで、著者はその「語りがたさ」に固執しつづけた。屈辱や憤り、自責、虚しさ、喪失、死への誘惑……。時に感傷的で非生産的と批判されながらも、断片的で矛盾に満ちた自らの戦争体験に留まり、二十年をかけてその「無念」を問うた書。 解説 福間良明
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