
客観性の落とし穴
ちくまプリマー新書 427
村上 靖彦
2023年6月8日
筑摩書房
990円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
「それはあなたの主観ですか?」。こういった言葉を聞いたことがあるひとは多いだろう。なにかを発信する際、それが主観的な意見なのか、客観的な意見なのか、を明確にすることが求められる。よく作文と論文の違いを説明する際にも、作文は主観的なことを書いていいが、論文では客観的なことを書く必要がある、と言われている。そういった教育のせいか、客観的なことが正しくて、主観的なことは正しくない、もしくは、あなたが思っているだけでしょ、と非難されることが多い。では、そういった客観的なものが優勢になっていくなかで、主観的な感覚は捨てられてしまってよいものだろうか? 著者の村上氏はそうは考えない。それは、数値が優位にたって世界においては、1人ひとりが持つはずの経験のリアリティが失われがちであるからだ。統計を過信し、経験が数値に置き換えられてしまうとそこにはディテールが失われてしまうだろう。その経験のリアリティをみつけることが主観的に考えることだといえるだろう。自分の体をもち、それがなにかと出会い、出来事が体験し、それを語ることでリアリティをつかまえる手段となるのだ。
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Tetsuhirokawano
普通とは何を基準にしてるの?
科学の客観的価値とは何か? 普通とは何なのか?? ・リスク計算は自分の身を守るために、他者をしばりつけるもの ・癌、強盗、地震、地球温暖化など、恐怖の対象は実は確率そのもの ・知能テストを過剰に行うことで、発達障害というラベルを貼られる 数字やエビデンスで、判断することで、感情や個々の基準が、ないがしろにされてる現代社会への警笛。 気付いたら自分たちも、数多くの数値を元に、 「こういう人」と決めつけられている
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