魔道師の月
乾石智子
2012年4月30日
東京創元社
2,200円(税込)
小説・エッセイ
こんなにも禍々しく、これほど強烈な悪意を発散する怖ろしい太古の闇に、なぜ誰も気づかないのか…。繁栄と平和を謳歌するコンスル帝国の皇帝のもとに、ある日献上された幸運のお守り「暗樹」。だが、それは次第に帝国の中枢を蝕みはじめる。コンスル帝国お抱えの大地の魔道師でありながら、自らのうちに闇をもたぬ稀有な存在レイサンダー。大切な少女の悲惨な死を防げず、おのれの無力さと喪失感にうちのめされている、書物の魔道師キアルス。若きふたりの魔道師の、そして四百年の昔、すべてを賭して闇と戦ったひとりの青年の運命が、時を超えて交錯する。人々の心に潜み棲み、破滅に導く太古の闇を退けることはかなうのか?『夜の写本師』で読書界を瞠目させた著者の第二作。
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(無題)
シリーズ二作目。『夜の写本師』にも出てきたギデスディン魔法の創始者キアルスと大地の魔道師レイサンダーを中心とした物語。時間的には写本師の時代より遡ることおよそ千年、キアルスがシルヴァインを失うという、あの悲劇的事件の直後に設定されている。 この二人の魔道師に振りかかる出来事が物語の主軸だが、タペストリー中の星読みのテイバドールの話が中程に挿入されており、全体として入れ子の物語となっている。前作と同様、この重層的な物語構造が非常に秀逸。 この作家さんは地の文、描写などはイメージが濃密かつ緻密で大変素晴らしいのですが、その反面、会話文は少し苦手なのかなと思いました。時おり少しぎくしゃくしているというか、地の文とマッチしてないように思われる箇所がありました。 でも文章力も構成力も見事なので、ほとんど気にかからず一気に読めてしまいました。 翻訳ものの西洋ファンタジーが好きな方、ラノベに物足りなさを感じている方にはぜひ本シリーズを読んでいただきたいです。 ちなみに、コンスル帝国は古代ローマ帝国をモデルにしている気がする。consul=執政官なのかな?
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シリーズ二作目。『夜の写本師』にも出てきたギデスディン魔法の創始者キアルスと大地の魔道師レイサンダーを中心とした物語。時間的には写本師の時代より遡ることおよそ千年、キアルスがシルヴァインを失うという、あの悲劇的事件の直後に設定されている。 この二人の魔道師に振りかかる出来事が物語の主軸だが、タペストリー中の星読みのテイバドールの話が中程に挿入されており、全体として入れ子の物語となっている。前作と同様、この重層的な物語構造が非常に秀逸。 この作家さんは地の文、描写などはイメージが濃密かつ緻密で大変素晴らしいのですが、その反面、会話文は少し苦手なのかなと思いました。時おり少しぎくしゃくしているというか、地の文とマッチしてないように思われる箇所がありました。 でも文章力も構成力も見事なので、ほとんど気にかからず一気に読めてしまいました。 翻訳ものの西洋ファンタジーが好きな方、ラノベに物足りなさを感じている方にはぜひ本シリーズを読んでいただきたいです。 ちなみに、コンスル帝国は古代ローマ帝国をモデルにしている気がする。consul=執政官なのかな?
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