母の日に死んだ
創元推理文庫
ネレ・ノイハウス / 酒寄 進一
2021年10月29日
東京創元社
1,760円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
かつて孤児院から子どもを引き取り、おおぜいの里子を育てていたライフェンラート家で、遺体が発見された。死んでいたのは邸の主人だったが、ピアが邸内を捜索したところ、事件は一変する。飼い犬のケージ付近の床下から、ラップフィルムにくるまれ死蝋化した3人の遺体が出てきたのだ。里子の世話に心血を注いでいた男は、恐るべき連続殺人犯なのか?大人気シリーズ最新作!
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(無題)
邦訳が出る度に手に取っているドイツの人気警察小説。貴族階級出身で物腰柔らかく上品な男性警官と直情径行型のエネルギッシュな女性警官の二人を中心としたシリーズでフランクフルト近郊の都市を舞台としている。本作は独居老人が死体で発見されるところから始まる。一見ただの事故と思われる状況だったのだが屋敷の庭の檻に閉じ込められた老人の飼い犬が地面を堀りかえし人骨と思われるものをかじっていたことから屋敷が捜索され、複数の死体が発見されたことから連続殺人事件に発展する。果たして孤独死していた老人がシリアルキラーだったのか、それとも他に犯人がいるのか...老人とその妻がその昔、大勢の孤児を引き取って育てていたことから屋敷で育った人達を中心に捜査が進み、という話。ここに母親が亡くなったことから自分が養子であることを知った女性の本当の親探しの話が並行して語られていく形式。かなりのページ数かつ後半に行くにしたがってどんどん醜悪な話になっていく、しかも「こういう話かな」となんとなく予測がついてしまうにも拘らず最後まで面白く読ませてしまうのは作者の力量かと。万人にお勧めできる作品とは思いませんが面白かった。
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