北魏史 洛陽遷都の前と後

窪添慶文

2020年12月9日

東方書店

2,420円(税込)

人文・思想・社会

3世紀初めからの約400年、中国は巨大な分裂期であった。その中で鮮卑族拓跋氏の建てた北魏王朝は、前身と後継政権を含めるとほぼ同じに近い長い期間、国を維持する。その間、1草原の部族連合国家→2華北を支配するものの胡族支配の色彩を濃厚に残す帝国→3胡漢を一体化して中華の地を統治する帝国と、大きくそのあり方を変える。2から3への劇的な転換の舵を切ったのが孝文帝である。本書は改革を象徴する洛陽遷都を序章に置き、五章に分けて、改革の内実、それに至る12、改革の結果という順序で叙述する。そして終章として、秦漢と隋唐という二つの統一帝国の間にあって北魏という「異民族」政権がいかなる意義をもっていたかを考察する。 まえがき 序章  一 洛陽遷都  二 五胡時代ーー北魏史理解の前提 第一章 孝文帝親政期の諸改革  一 孝文帝の即位と文明太后  二 土徳の王朝から水徳の王朝へ  三 儀礼の改革 第二章 遷都後の諸改革  一 「代人」から「河南の人」へ  二 墓誌  三 胡服・胡語の禁止  四 胡姓を漢姓に  五 官制改革(1)--消えた内朝官  六 官制改革(2)--九品官制の整備  七 姓族分定  八 官制改革(3)--門閥制の導入  九 考課の改革  一〇 国家意思決定のシステム  一一 南朝斉への攻撃 第三章 建国から華北統一までーー濃厚な鮮卑色の時期  一 代国時代  二 代国の復活  三 華北統一へーー道武帝〜太武帝の時期    ◆帝国への脱皮    ◆皇帝位の継承    ◆帝国の拡大ー華北の統一ー    ◆北魏包囲網とそれへの対処  四 北魏政権下の諸族    ◆征服された諸族と旧来の諸族    ◆部族解散    ◆部族解散された人々のあり方(1)  ◆部族解散された人々のあり方(2)  五 北魏政権下の漢族  六 可汗とも称した北魏皇帝 第四章 変化のきざし  一 鎮にみられる変化  二 鎮軍と州軍への「代人」の分出  三 文成帝と献文帝  四 文明太后称制期  五 均田制と三長制  六 仏教に現れた変化  七 洛陽遷都のもつ意味 第五章 繁栄、そして暗転  一 改革の継承  二 洛陽の繁栄  三 北魏の文化  四 「代人」や鎮民の不満  五 六鎮の乱から東西分裂まで  六 東魏・北斉  七 西魏・北周 終章  一 制度  二 支配階層  三 女性の活躍・世界帝国  四 北魏史の位置づけ あとがき 北魏関係年表 参考文献

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