幸福の測定

ウェルビーイングを理解する

鶴見 哲也 / 藤井 秀道 / 馬奈木 俊介

2021年11月15日

中央経済社

2,860円(税込)

人文・思想・社会

何を「幸せ」と感じるのかは人それぞれだが、「共通の傾向」があることが学術的に明らかになっている。本書は、幸せの決定要因を追求しながら、各地域に適した政策を提言する。

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koji

果たして自らにとっての幸福とは何か。それは収入の多寡によるものではない。 幸福とはいったい何なのか。

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2.8 2022年03月20日

世界的な調査と、日本国内の綿密な調査の二部構成になっている。全世界で共通するのが、幸福とは一概に収入の多寡で決められるものではない。よく言われていることではあるが、年収8万ドルまでは幸福の度合いと収入の量は相関関係がある。しかし、それを超えてしまうと幸福の度合いは年収には比例しなくなる。結局、人は3食以上は食べられないし、他人に見せびらかす趣味(高級車やiphoneなど)はお金がかかるが幸福にはあまり寄与しない。またその幸福度合いも長時間維持できないのだ。 本書の中には北欧諸国と日本の習慣について比較される記述も多いが、それは参考程度で良いだろう。 フィンランドがどうよりも、日本に住んで、日本で働く我々が何をすればそしてどうすれば幸せになるかが最も関心があるからだ。 わたしが最も賛同したのは、世界共通の事ではあるが、一日の労働時間が11時間を超えると急激に幸福度合いが減少してくと言う。私もこれは実体験としてそう思う。 結局、人は労働のために生きているのではなく、幸福になるために生きているのであり、労働はその生活の糧を得るための手段の一つでしかない。 いま日本の多くの人が幸福感を感じにくくなっているのは、労働時間の長さになると思う。定収入過ぎでも幸福感は低下するが、果たして生きていくのに最低限必要な収入さえあれば、あとはそれほど働きすぎなくて良いように思う。どうせそんなに稼いでも使いきれずに死んでいくのだ。そうであれば、労働時間を制約し、人生を謳歌した方が良いのではないだろうか。 本書の巻末には各都市、県ごとの幸福感についての記述もあるが、学術的に貴重な物であるのは理解するが、多くの読者にとって、データの解釈に戸惑うのではないかと思う。 ああ、そうなのね、くらいにとどめておくのがちょうど良いか。 特筆すべきは北海道の夕張市の幸福度が高いことだ。 財政破綻した同市は公共サービスが停止したことで有名だ。 なぜ夕張市の幸福度が高いのかは本書では触れられていなかったが、地縁のある人々が地域に残り、公共サービスがなくなった分、地域のコミュニティがそれを代替して助け合いの人間関係によって幸福度が増加したのではないかと推測する。 普段読み慣れているソフトカバーの書籍よりも、本書はハードカバーなだけあり、学術的な記述が多い。大いに知的好奇心をそそられる一冊だ。

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