
粉飾決算
問われる監査と内部統制
浜田康
2016年2月24日
日経BPM(日本経済新聞出版本部)
2,640円(税込)
ビジネス・経済・就職
統治に潜むリスク、監査の課題、司法との認識のズレ、そして「責任逃れ」の連鎖…東芝調査報告書から浮かび上がる構造問題に鋭く切り込む。
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淡々と会計論
銀行の決算経理基準から自己査定を導入する経緯や背景、基準の内容や趣旨を吟味し、判決とたんたんと突き合わせていくものです。 ドキュメンタリー的な面白さは全く無いですが、普通に会計学の本を読んでも学べないことが学べるので、資格勉強ではなく単純に会計に興味を持って勉強してるだけの自分にとって、非常に面白いです。 公認会計士という専門家でも、人が違えばこうも真反対の話になるものか。 ただこちらは、歴史的背景や通達等の内容を実際に提示したうえで、噛み砕くように解説しているため、説得力が強いように感じられます。 三洋電機の粉飾事件 自分の世代だと、家電メーカーとしてはもちろん、プロ野球オールスターゲームのスポンサーとしての印象も強い企業だが、切ない気持ちになる。 相変わらず、会計基準から公認会計士協会の指針、米国会計基準など実際の規程を参照しながら丁寧な説明で、とてもわかりやすい。 この章での、日米における税効果会計の比較は理解しやすかった。 著者は、どの事件も関係者ではなく、したがって管理会計ではなくあくまで財務会計を読み解く手法のため、ある程度類推がある。 しかし、規程や社会背景や問題となる会計処理などの事実から、蓋然性の高い結論を丁寧に積み上げているため、納得性が高い。 一つ一つ根拠を確認しながら判決内容をつぶさに見ていくと、裁判官の会計に対する無理解が大きいように思えてくる。 法曹界と異なり、特に時価会計導入後の会計は、擬制資産もあれば経営者による見込みによる資産もある。 そうした会計について、明確な数字での基準など馴染まないし実際上もそのような慣行もないのに、色々な指針に出て来る数字を勝手に基準として、意味のわからない判決がなされている。 この事件については、これまで色々読んできたが、著者はそれらのある種俯瞰的な分析ではなく、どのような監査手続を踏めば粉飾が防げるのかといった、現場レベルの具体的な分析をしている。 事件の内容に入る前に、工事進行基準と工事完成基準の歴史や詳細についての解説があり、背景を知ると本当に理解が深まる。 他の本と違い、粉飾の手口にはほとんど触れず、徹底して監査人視点。 会社はこのように主張している、これこれこういう事実がある、なぜ監査人はこれを考慮していないのか、といった流れ。 まさに、監査人たる公認会計士が読むべき内容だし、被監査会社のCFO以下財務担当が読むとまた面白いのではないかな。 でも、説明が丁寧なので私のような素人でも面白い。 工事進行基準を利用した不正会計と、ODM取引を悪用したバイセル取引なる不正会計。 前者は、原価計算から改善による原価低減など、企業による評価という監査上の難しさがある。 しかし後者は、古くから誤った処理とされ、法理的にも許容されない処理を、意図的かつ法外な内容でおこなってきたもの。 バイセル取引は、その仕組み自体は単純で、クラシックな粉飾手口という印象。でもどちらも、損失の先送りにしかならないんだよなぁ。
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