
「孫たちは帰らない」けれど
失われた「ふるさと」を求めて
それでも「ふるさと」
豊田直巳
2018年2月8日
農山漁村文化協会
2,200円(税込)
絵本・児童書・図鑑
春の山菜・秋のキノコと自然に生かされた生れ故郷は「帰れない村」に。一方で、仮設住宅は新しい友もでき「第二の故郷」に。両者の間でゆれ動くお年寄りたちの日常や想いを活写、故郷の意味を問い、喜怒哀楽を描く。 自然の恵みゆたかな、福島県北東部の高原の村ー飯舘村から車で1時間ほど山を下った伊達市にある仮設住宅に、おばあちゃんたちは暮らしています。 放射能にふるさとの村を追われたのです。 村では広い敷地に何世代も住んでいましたが、ここは村の1軒分ほどの敷地に、約100軒もの仮設住宅が建ち並んでいます。 長屋形式で、板で仕切っただけの部屋では、「テレビの音がうるさい」といった不満も……。 でも、仮設住宅の暮らしに慣れるにつれて、近所付き合いも生まれ、友だちもでき、ここは「第二のふるさと」になってきました。 その一方で、春の山菜や秋のキノコ、一年中、いのちをつないでくれた味噌など、自然の恵みに生かされた村、「帰りたい村」への思いもつのります。 そして、避難から6年、避難指示は解除され、仮設住宅から出ていく日が近づいています。 おばあちゃんたちは、いま、「二つのふるさと」の間でゆれています。
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