なにが? 永遠が

世界の迷路

マルグリット・ユルスナール / 堀江敏幸

2015年8月20日

白水社

3,740円(税込)

小説・エッセイ

北米メイン州の島で半世紀近く過ごし、パリの文壇とは無縁に生きた孤高の作家ユルスナール。「現代に迷い込んだ古典作家」とも評される彼女自身について、われわれは決して多くを知っているとはいえない。  本書は、じつに二十年という歳月を費やして、はるか両親の先祖にまで遡りながら〈私〉という存在の謎に迫った、まさに著者のライフワークと呼ぶべき自伝的三部作〈世界の迷路〉の最終巻である。前二作では、感傷を排した透徹した筆により、歴史小説さながらに〈母〉の物語、〈父〉の物語を描いたユルスナールが、本書ではようやく〈私〉の記憶へと降り立つ。しかし、相変わらず自らを語る著者の態度は慎ましい。自身について決して直截に語ることのなかったユルスナールは、遺作となった本書においてもまた、最愛の父を、そして父が愛情を傾けたひとを語る「交感の魔術」によって、〈私〉を逆照射する。また語られるのは青春期までであるが、さりげなく挿入されたエピソードには、小説や著者自身に関する重要な鍵が豊富に隠されている。訳者堀江敏幸の「交感の魔術」にも耽溺されたい。 単調な日々 降霊術師 軽いお世辞 黄金の三脚 裂け目 忠誠 幼年時代のかけら 愛のかけら 揺れ動く大地ーー一九一四ー一九一五 揺れ動く大地ーー一九一六ー一九一八 錯綜した小径 マルグリット・ユルスナール略年譜 訳者あとがき

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