孤独

白水iクラシックス

ジャン・ジャック・ルソー / 佐々木康之

2012年9月28日

白水社

2,750円(税込)

人文・思想・社会

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Readeeユーザー

(無題)

-- 2021年08月26日

私が読んでいるのは「孤独」ではない。 私が読んでいるのは「新エロイーズ」である。(リーディーになかったため「孤独」を選んだ) まだ前半である。今のところ主人公サン・プルーは理想やその思想は高邁で崇高であるが性格がややパッショネートすぎる。そのため決闘沙汰まである。がそのパッションがサンプルーの最大の魅力でもある。またその思想のイメージとしては「戦争と平和」のピエールや「アンナカレーニナ」のリョービンに近い。 恋人ジュリもあまりにも敬虔で徳を重んじ慈悲深く「戦争と平和」のアンドレイ公爵の妹マリアに近いように思った。 ルソーはトルストイよりも年代的にはるかに古い。 しかもフランス革命以前に書かれた小説である。 当時は危険な書と言っても良いものだったように思うがベストセラーになったらしく不思議である。 どの層が読んでいたのだろうか。 ともあれルソーが後世のトルストイ、ドストエフスキーと言った大文豪へ与えた影響は計り知れないものを感じる。 今のところサン・プルーが身分差によるジュリの父の反対により謀をされ拉致されたのち、パリ社交界にデビューしたところまでを読んでいる。 サンプルーが興奮状態でいかにこの社交界が不毛で欺瞞に満ちた世界であるかを熱くジュリに語っているがその熱い語りがジュリを不安にさせる。そのいかにもうわべめいた箴言ぽい語りが返ってサンプルーがいかに社交界に少しずつ毒されているかという疑いをジュリに抱かせる。 サンプルーは若く24歳であり、突如として華やいだ環境に身を置いた場合、憧れもあるだろうし心が華やぎ調子づくのはいかなる賢人をもってしても致し方のないことのように思われる。そしてまたジュリがサンプルーがどれほど口ではフランスの優雅な社交を批判し自らの孤独をことさら訴えても、そのどこか浮ついた調子に不信感や不安、ひいては嫉妬心を抱くのもこれまた仕方がない気がする。 結末は知っているが二人の心情がどのように変容していくのかどんな展開があるのかが楽しみだ。 ひとつ気になるのはこの小説が書簡集であるということである。互いに恋人への手紙には自分を多少盛って、また言い訳なども美しく書くのが人の常であるだろう。 どこまでが本音本質であるかは読者が少ない頭脳を働かせて判断するしかない。読みやすい文章でありながらそこが難解といえば難解である。 またエドワード卿は私は「悪魔と裏切り者」のヒュームと重ね合わせて読んでいる。 今のところサンプルーに金銭的にも社交デビューなどあれこれ手を尽くしてくれている。 でもどこかヒューム的なものを感じる。イギリス人ということでか、親切で穏やかであるが慇懃で冷たいイメージのある俳優レスリーハワードのような印象がある。

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