昭和も遠くなりにけり

矢野 誠一

2019年8月23日

白水社

2,750円(税込)

小説・エッセイ

古い話を、古い東京言葉で聞いてみよう  昭和、殊に戦後からの芸人や芸能について実際に見聞きし、付き合い、語れる評論家が、ほんとうに少なくなってきた。さらに加えて、東京言葉を駆使しながらの小粋な文章で芸能世界を語れる名文家となると、さらに限られてくる。  そんな中で著者は、落語や演劇など、幅広いジャンルに対し、共感への慈しみを大切にしながら芸人たちと共に歩む、独自の評論スタイルを築き上げてきた。  その原動力となっているのは、お馴染み「東京やなぎ句会」であろう。1969年1月小沢昭一、永六輔など男ばかり10名(後に12名)で結成されたこの句会は、すでに600回近く開催されているが、すでにほとんど他界し、現在では柳家小三治と著者の二人だけになってしまった。  本書はその著者による久しぶりのエッセイ集である。冒頭は句友たちへの追悼が並ぶ。それが独特の昭和史になっており、同時に著者の立ち位置を示している。  古い話を、古い東京言葉で聞いてみよう。そこから聞こえてくるものは、単なる郷愁ではなく、生き生きとしていた人々の、さりげない日々の営みである。いみじくも小沢昭一が著者に語ったという「昭和で飯を食う」矜持のようなものが読者にみえてくるはずだ。

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