
破綻の戦略
私のアフガニスタン現代史
高橋 博史
2021年12月1日
白水社
2,090円(税込)
人文・思想・社会
元大使が明かす、知られざるアフガン裏面史 本書は、大学卒業後、ダリー語修得のためカーブル大学に留学して以降、一貫してアフガニスタンに関わり続けてきた元大使によるメモワール的なドキュメントである。現地にどっぷり浸かり、体験し、長年にわたって蓄積した知見をもとに書き下ろした。 物語は、カーブル大学在学中の1978年に起きた軍事クーデターから始まる。直後のソ連軍による侵攻から、ムジャーヒディーン同士の内戦、ターリバーンとアル・カーイダの出現、9.11同時多発テロ事件を経てターリバーン政権崩壊へと続く一連の流れのなかで中心的に語られるのは、「アフガン人の生き方を守るため」の戦いに殉じた3人の人物ーターリバーンの創設者ムッラー・ウマル、北部同盟の司令官アフマッドシャー・マスード、義賊とも英雄とも評されるマジッド・カルカニーーだ。本人の肉声を聞き、関係者と議論を重ねた著者の視点や評価は、主要メディアから伝わる情報とはときに大きく異なる。 ジャーナリストによるルポや研究者による分析とは一線を画す、異色のノンフィクション。 宮家邦彦氏(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)推薦 はじめに──ターリバーン最高指導者の悔恨と死 第一章 紛争の足音 古老の物語 若きマスードの戦い──一九七五年の出来事 第二章 一九七八年の軍事クーデターと若き愛国者の死 学生活動家との出会い 軍事クーデター ダボス米大使殺害の真相 アフガニスタンのロビン・フッド 第三章ムジャーヒディーン 山林の老僧 内戦──根なし草たちの権力闘争 老師の怒りと哀しみ 第四章 ムッラー・ウマルと七人のサムライ伝説 ターリバーン出現とその背景 ムッラー・ウマル伝説──夢に現れた預言者ムハンマッド 出自──出生、家族、部族、出身地 決起 七人のサムライ─ターリバーン運動の始まり 第五章 ターリバーン考──アフガン人とは ターリバーン野戦指揮官たちとの教育論争 ノムースの概念 自爆テロの正当性 第六章 九・一一事件の序幕──マスード司令官暗殺事件 暗殺の第一報 国連機関の対応と米国による情報漏洩 ターリバーンとマスードの戦い ウサーマ・ビン・ラーディンとムッラー・ウマルの野望 暗殺事件の真相と潰えた野望 第七章 潰えた戦略と中村哲医師の夢 破綻した戦略 中村哲医師の夢 あとがき
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