死者は語らずとも

PHP文芸文庫

フィリップ・カー / 柳沢伸洋

2016年9月8日

PHP研究所

1,540円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

一九三四年のベルリン。二年後のオリンピック開催を控え、ユダヤ人の排斥が進むなか、警察を辞しホテル警備員の職を得たグンターの前にひとりの女性作家が現れる。ある目的のためにアメリカから来た彼女とともに、グンターはオリンピック会場建設の不正に端を発した陰謀に迫っていくー。そしてすべての真相は革命前のキューバで明らかに…。タフで不器用な男の孤独な闘いを描いた英国推理作家協会賞受賞作。

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toruo

(無題)

-- 2022年05月12日

舞台が二箇所。ナチスが政権を握りつつあるベルリンとその20年後、革命前のハバナ。 共和国支持者であったために殺人課刑事の職を奪われ、ホテルの警備担当をしている主人公。ホテルのオーナー夫人から客のアメリカ人ジャーナリストの女性への協力を求められる。女性はユダヤ人でアメリカがベルリン・オリンピックに参加しないようユダヤ人迫害の実態を報道しようとしていた。元ボクサーのユダヤ人の死体が川に捨てられていた事件をテーマに記事をまとめようと取材するうちにベルリン・オリンピックに絡んだアメリカのマフィアも絡む癒着関係にいきついて…というベルリンを舞台にした全体の半分以上を占める部分が言わば前置き。 後半、元刑事とジャーナリスト、そしてマフィアがハバナで再会し一気に物語が動いていくのだが...ボリュームのある作品ながら一気に読んでしまった。しかもそういうラストにいくかね!という展開。 ゴダードなどイギリスの作家にはこういう史実を用いたノンフィクションが巧い人がいるけど伝統芸だろうか... 大勢に迎合せず自分の信念を通すが故に困難に巻き込まれる主人公や脇役の造形も見事。陰鬱なベルリンから猥雑なハバナへと舞台転換も面白くて映画にしてもウケるんじゃないかと思った。 このシリーズはつまみ食いみたいに読んでたのだけどちゃんと一作目から読見直そうかと思いました。これは良かった。

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