「通貨」はこれからどうなるのか

PHPビジネス新書

浜矩子

2012年5月31日

PHP研究所

880円(税込)

ビジネス・経済・就職 / 新書

揺れ動く円ドル相場、ユーロ危機、日本の財政問題…混迷を続ける世界経済の中で、「通貨」はこれからどうなっていくのか。「1ドルは50円になる」「ユーロは崩壊する」「日本の財政問題解決にはシュールな発想で」「地域通貨の時代が来る」など、ベストセラー『「通貨」を知れば世界が読める』の著者が、日本の進むべき道を大胆に説く。

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3.8 2018年01月29日

本書は円高論者として知られる著者が、世界経済を踏まえた上で、通貨の未来について語った本です。 世界最大の債権国である日本の円高はまだまだ続き、その均衡水準が「1ドル50円」と著者は主張します。ドルは基軸通貨から脱落し、ユーロについてはある領域が単一通通貨圏として安定的に存在できるための2条件、「経済実態の完全収斂(領域内で物価・失業率・賃金水準など経済実態が完璧に同じで経済格差が存在しない)」と「中央所得再分配装置の存在」が成り立たないため消滅する、と大胆にも明言しています。 国境なきヒト・モノ・カネの大移動時代において、筆者が描く世界の通貨の未来は「地域通貨」を挙げています。ある目的や地域のコミュニティー内などで、法定貨幣と同等の価値あるいは全く異なる価値があるものとして発行され使用される貨幣ですね。対象となるコミュニティーの状況に応じて規定される通貨であり、この場合、購買を促す(貯め込み防止)ためのマイナス金利的な要素を通貨に持ち込むことも可能としたものです。 一方、もう20年も前から、円が「隠れ基軸通貨」として世界を動かしていた、といったらどうでしようか。 円高によって国内産業の危機が叫ばれる一方で、新たなチャレンジを行う日本企業も存在しました。その1つが、円高を利用したアジア各国への進出でした。タイ、マレーシア、インドネシアといった国々に多くの企業が進出していきました。 この地域の多くの国が、ドルと連動して通貨価値が動く「ドルペッグ」という通貨体制を取っていたことも幸いし、多くの企業が「強い円」によって海外進出を進めていったのです。すると当然、それらの国の景気も過熟します。 それはいつしか、インフレと対ドル固定レート切り下げの圧力となって、各国を苦しめることになりました。そこで各国は金利を上げることで、金融引き締めに動いたのです。 そんな中、日本ではバブルがはじけ、ついに円ドル相場が1ドル70円台になるなど円高不況が強まりました。企業のアジア進出ブームはここで、一息つくことになります。 ところが、意外な方向からアジアにマネーが流れ込むことになります。日本が不況対策として金融大緩和を行い、資金調達コストが大きく下がりました。そこで金利の低くなった円を借り、それをドルに換え、その資金をアジアに投資するという流れが加速していったのです。「円キャリートレード」です。この流れに一役買ったのが、かのヘッジファンドです。アジア経済は、ますます過熱することになりました。 一方、日本においては不況がさらに強まり、1997年には北海道拓殖銀行や山一證券が破綻するという事態になりました。損失補填のため、アジアからのジャパンマネーの大逆流が始まります。それをきっかけに、雪崩を起こすようにアジアからの資金引き上げが起こり、ヘッジファンドがそれに便乗することで、その流れはさらに加速しました。多くの東アジア諸国が破綻寸前の状態に追い込まれることになったのです。 このアジア通貨危機においては、ヘッジファンドの陰謀説が叫ばれましたが、それを加速させはしましたが、実情は彼らは便乗したにすぎませんでした。「真犯人」は他でもない、円だったのです。 このようなカを持つに至った円は、いわば「隠れ基軸通貨」的存在といえます。今ではグローバル経済に大きな影響を与えるようになっています。 債権大国である日本の円は、これほどの影響力を持っているのです。むしろ何もしないことのほうがよほど無責任だと言わざるを得ません。 にもかかわらず、日本政府は為替相場に介入をすることで、円高を少しでも阻止しようとしています。輸出立国のイメージから決別できないのですね。アメリカ追随がベストという既成観念からも脱却できないでいます。 本当にアメリカのためを思うのであれば、身の丈に合った為替水準にドルが落ち着くよう、日本がイニシアチブを取って誘導すべきポジションを占めるまでになっているんですがね。

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