奇跡の人
原田マハ
2014年10月20日
双葉社
1,760円(税込)
小説・エッセイ
旧幕臣の娘である去場安は、岩倉使節団の留学生として渡米した。帰国後、日本にも女子教育を広めたいと理想に燃える安のもとに、伊藤博文から手紙が届く。「盲目で、耳が聞こえず、口も利けない少女」が青森県弘前の名家にいるという。明治二十年、教育係として招かれた安はその少女、介良れんに出会った。使用人たちに「けものの子」のように扱われ、暗い蔵に閉じ込められていたが、れんは強烈な光を放っていた。彼女に眠っている才能をなんとしても開花させたい。使命感に駆られた安は「最初の授業」を行う。ふたりの長い闘いが始まったー。
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(無題)
奇跡の人と聞いて誰しもが思い浮かべるのは、三重苦の障害を克服したヘレン・ケラーと彼女に奇跡を起こした家庭教師アン・サリヴァンですね。そう、本書はその日本版焼き直しなんです。舞台を明治20年の津軽に移し、盲聾の少女が言葉を習得するまでを描いた感動長編小説なんです。登場するのは津田梅子を思わせる去場安(さりば・あん)、介良れん(けら・れん)です。もうひとつ、盲目で津軽といえば、誰しもが連想するのは瞽女ですね。瞽女もこの作品中で、重要な役回りを演じます。 舞台を弘前から金木に移して巡り合ったのが、キワでした。門つけの女旅芸人です。津軽では、ボサマといいます。盲人が生きていくのには、芸を身に付けるのが一番です。そのために親方に預けられて、仕込まれるのです。門つけに回る際、家族を装った方が気の毒がられて身入りが良いと、それらしい年齢の他人がグループを組むのです。大人に囲まれて生きてきたれんに友達ができたのです。 奇跡が起きました。奇跡を起こしたのは、安。奇跡が起きたのは、れんの身の上にです。れんは言葉を手に入れたのです。触手話と手文字がそれを可能にしたのです。安がそれを考案したのでした。 「けものの子」れんが次第に獣性を体外に放出して人間の尊厳を身につけていくさまは、息を飲むような思いで読みました。スリリングで感動的な著者の文章表現には、いつものことながら脱帽です。我が交感神経がいつの間に活発化していたのでしょう。胸がドキドキ、眼から液体が流れ出していました。 何処かにモデルがいる実話かと思わせる小説でした。
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