
そして、警官は奔る
双葉文庫
日明恩
2011年4月30日
双葉社
1,026円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
隣の家から、いないはずの女の子の声が聞こえるー。蒲田署に異動になった武本が遭遇した幼女の監禁事件。懸命の捜査は、やがて不法滞在の外国人を母にもつ子らの人身売買と虐待という闇を炙り出す。法では裁ききれない現実に、武本はどう答えをだすのか?そして、警察を辞めたかつての相棒・潮崎は…。人気シリーズ第2作。
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(無題)
国家転覆の任務遂行のために穏やかな笑顔と物腰で日本のなかに溶け込み、殺人すら辞さず、だが失敗した途端簡単に見捨てられ大井埠頭の海に消えた林、研究職を投げ出してまで麻薬取締官になり、あげく職を失った宮田、警察の組織自体を変えるためにあえて辞職した潮崎、前作「それでも警官は微笑う」でこれら3人と濃厚な人間関係を切り結んだ武本正純は、新たな職場で新しい人間関係を創り出そうとしています。 配属された蒲田署でコンビを組んだのが、武本に輪をかけたようなプロ中のプロ和田です。冷血と呼ばれています。冷血の鬼畜の新コンビ誕生です。和田の真骨頂が現れるのは、児童監禁で逮捕した歯科医・三鷹を自供に追い込む取調べシーンです。脅したりすかしたり、ましてや情に訴えたりといった常套手段ではありません。誰も真似ができない、手法を使って容疑者の心理を撹乱して気がつくと自供してしまっているのです。法によって罰する事はできても、犯人を更生させることは出来ない、との和田の深い絶望が鬼気迫る勢いで容疑者の魂を揺さぶるのでした。 本シリーズを面白くしている最大の要素として、池袋署で武本とコンビを組んだ潮崎の存在があります。前作で潮崎は、警察組織の矛盾に直面し、現場の1構成員では変革には余りに無力であることに気付いたのでした。そのため彼は、国家公務員試験一級を受け直し、今度は刑事ではなくキャリアとして権力を手中にして上からの改革を目指そうとするのです。こんな優れたキャラクターを作者も手放すわけがありません。本作でも国家公務員試験合格の手土産を下げて帰って来ました。来年春からの入庁を前に、1民間人として武本の周りで事件を追います。 今回のテーマは児童虐待、それも外国人絡みとなったら、その先に不法滞在、売春などの犯罪が思い浮かびます。事実、不法滞在の外国人が登場するのですが、問題は彼女らの子供たち、国籍を持たない子供なんですね、これが実に深刻な社会問題として取り上げられています。更には殺人事件が3件も起こるのですから、いよいよ警察小説らしくなって来ます。そして不法滞在の女性の子供達を支援する羽川のぞみが、殺人事件のキーパーソンであることが明らかになってくると手に汗を握るシーンが連続し、一気にクライマックスに突き進みます。
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