
深山に棲む声
双葉文庫
森谷明子
2013年3月31日
双葉社
838円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
イヒカは深山で、ある子供と出会う。子供は謎めいた女によって山に閉じこめられていた。子供がイヒカに頼むーぼくを助けに来て。大切なお守りの鏡を預かり、助けに戻ることを約束したイヒカ。だが二人は数奇な運命に呑みこまれてゆく。人間の尊い信義に胸が震え、緻密かつ壮大な物語に心奪われる、傑作大河ファンタジー。
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(無題)
山麓に住む人々の間で、決して立ち入ってはならないと言い伝えられる深山を舞台に繰り広げられる一種不思議なファンタジーと言えば良いのでしょうか、昔話ミステリーと言って良いのかもしれません。 山の中で一夜の宿を求めた旅人に老婆が物語を語り聞かせました。そのあらましは、次の通りです。少年イヒカは、春の祭りに使う花を求めて禁じられた深山へと入り、霧に迷ったところを深山に住む女に助けられます。女によって閉じ込められているという少年のおかげで女の元を逃れたイヒカは、助けにくることを約束し彼が大切にしている鏡を預かります。次は追っ手から逃れるために黒い櫛を投げ捨て、大きな森を出現させたゲンと言う国の少年の話です。また、セイの山奥に隠れ住んでいることを人に知られないように青い衣とともに身代わりの死体を流し、洪水を引き起こした女の話、そして白い針を使って、目をかけた子供だけをなだれから救った山の女の話です。それぞれの物語に登場する人物は共通しますので、関連しますが、時系列的に語られないところから、読者は混乱させられます。それがこの小説独特のひとつの「味」となっています。 その4つの物語が、5つめの話「黄金長者」で、イヒカは伊緋鹿にイオエは五百枝にと表記が漢字になります。つまり、五つ目の物語は現実世界を舞台としており、先立つ四つは、その現実世界では伝説のように人々の間に語られる「物語」なの だ、という構成になっているんですね。 最後の「眠りにつくまで」という短い章で「新しい話があるぞ」「昔語りを真に受けるものじゃない」と母が子に言います。読者はこれで何が本当でどこが物語なのか、よく分からなくなってきます。物語と現実が交錯する、不思議なお話しでした。
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