フルコース夫人の冒険 新装版

双葉文庫

赤川 次郎

2019年9月12日

双葉社

693円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

カルチャースクールを次々と渡り歩き、「フルコース夫人」と呼ばれる主婦・中沢なつきに突然舞い込んだ娘との映画出演の話。平穏だった日常は一転し、撮影に忙しい毎日を送るなか、夫が女優と浮気し、そして殺人事件も起きてしまい……。この母娘、どうやって難題を乗り越える!?

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フルコース夫人

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3.7 2022年07月10日

華麗な主婦のカルチャーセンター通い】 専業主婦のなつきは、カルチャーセンター通いが趣味。 とにかくあらゆる講座に顔を出す。 今日はこれとあれとそれとこれと。 一つのカルチャーセンターでは飽き足らず、 ほかにもほかにもと、顔を出す。 ほとんどに顔を出しているため、 たいていの話は聞いてしまっている。 その日にやっている教室をたくさん回るために、 次の講座に間に合わすため、途中で退出する徹底ぶり。 彼女は「フルコース夫人」と呼ばれるようになった。 なんでもやってるから、「フルコース夫人」。 どの先生もかなわない。 彼女は内容を全部知っているから。 カルチャーセンターではちょっとした有名人。 だが、彼女は自分がそんなに注目されているとは気づいてもいなかった。 そんな彼女に、ある日映画のオファーが舞い降りる。 スカウトしてきた彼の熱意にほだされ、OKを出した。 専業主婦でとりえも何もない自分が映画?? しかも娘と一緒に親子ものの映画にでることに。 それは彼が学生の頃から夢見ていたことだった。 もう会うこともないだろうと思っていた。 彼女に出会えただけで奇跡だったのに。 彼女をスクリーンに出すことができたんだ。 フットライトを浴びて光り輝いている彼女を見て。 自分の夢が現実のものになった。 それだけで胸がいっぱいだった。 手の届かない存在のままでいい。 一生、日影の存在でもいいんだ。 ただ、彼女がどれだけ素敵かってこと。 みなに知ってほしかったんだ。 ほら、こんなにも素晴らしい女性だって。 それだけで僕は満足だった。 あの頃の君への想いは今でも変わらないから。 君はたぶんこれからも気が付かないだろう。 でも僕はずっと君への想いを忘れられなかったから。 少しでもそばにいれたらそれでいい。 誰かのものだったとしても、彼女が幸せならそれでいい。 彼女がステージで光り輝くとき。 僕はものすごく満たされるから。

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