春待ち柊

鶴亀屋繁盛記

双葉文庫

和田はつ子

2008年12月31日

双葉社

639円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

産み月を間近に控えた蝋燭問屋「光明堂」の内儀おそめの行方が知れなくなった。亭主の林吉から依頼を受けた、人捜しを生業とする「鶴亀屋」の梅太郎と竹蔵は、手掛かりを求めて早速探索を開始する。しかし、おそめ捜しの開き込みが進むにつれ、林吉の意外な一面が浮かび上がってきて…。書き下ろし人情時代小説第三弾。

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2.7 2018年01月27日

神田相生町の鶴亀屋は、人捜しが生業で、元武士の竹蔵と、武家の若隠居鶴川梅太郎の二人で商売をしています。竹蔵が刀を捨てたのは、老舗の煙草問屋だった、まつ恵の生家加納屋に婿入りしたからでしたが、借金を抱えて店は潰れ、裏店の長屋暮らしを余儀なくされました。道場仲間だった梅太郎の勧めで、人捜し稼業を始めたのでした。 本書は四話の短編からなります。第一話「九月蚊帳」は、小石川療養所の人気医師が失脚し失踪したので、その探索です。そこには、青年医師三上への師の嫉妬が醜く渦巻いていました。三上は地位や栄誉を手に入れることはできませんでしたが、愛する妻とともに市井の幸せを噛みしめる日々をおくることができるようになりました。なお、9月蚊帳とは9月になっても蚊が多く出て、蚊帳を吊らなければならないほどの時、短冊に雁と書いて、蚊帳の四方の掛け金に結びつけておく慣習でした。 第二話の「蜜柑の里」は、蜜柑の里三ヶ日への逃避行のお話です。古着屋の角助が六歳になる娘を連れて失踪しました。角助は元は大店の跡取りでしたが、この大店は強盗に襲われ一家皆殺しになるところを母親と二人、難を逃れました。強盗一味から逃れるため身を隠す角助は、蜜柑の里三ヶ日への移住を密かに画策するのでした。 第三話は「つれづれ草」です。そうです。吉田兼好の徒然草に因むものです。若い女性の間で交換日記のような「つれづれ」が流行っていました。絵草紙屋・茜屋の娘おえいが失踪しました。そして死体となって発見されたのです。どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。その原因は、辛辣な口調で書かれたおえいの「つれづれ」の中にありました。 最後は「鬼は内」です。節分の慣習として豆まきは一般的ですが、柊の枝に刺したイワシの頭を家の門、玄関、台所になどに飾るというのがあります。ヒイラギの葉はノコギリ状にとがっているので、これが鬼の目を刺すと考えられ、鬼を寄せ付けないための魔よけとして伝えられてきました。また、鬼はイワシを焼く臭いと煙を嫌がるとされたのです。これが書名の意味ですが、お話は日本橋馬喰町の蝋燭問屋・光明堂の主人林吉のDVを受けるおそめの失踪です。出産を間近に控えたおそめは、夫の暴力から身を守れるのでしょうか。

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