惜別の剣

おいらか俊作江戸綴り

双葉文庫

芦川淳一

2009年6月30日

双葉社

660円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

滝沢俊作に舞いこんだ新たな仕事は、呉服屋の十歳の女の子の用心棒だった。子どもが心配なら千両よこせという妙な脅し文が、呉服屋に届いたからである。勝気な子に振りまわされ難儀する俊作だが…。一方、襲いかかってくる刺客との死闘の果てに、俊作はなぜ襲われるのか、その訳をついに知ることになる。大好評シリーズ第三弾。

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2.8 2018年01月25日

フージャの邪を祓うに呪法はいらない。ましてや、対症療法としてのクスリに頼るのは問題外である。ただただ安静にして内なる気が満ちてくるのを待つだけだ。休養と栄養が恢復への唯一有効な手立てである。風邪をひいた時ベッドで横になって、うつらうつらしつつ読むのに適当な本として、時代小説ほどふさわしいものはない。 こんな思いが本書を手に取った動機である。おいらか侍・滝沢俊作のその後も気になっていた所だった。俊作は訳も分からずにお役御免となり、江戸の裏店で浪人として暮らすようになった21歳の若侍で、心優しい性格だが、剣の腕は相当にたつのだった。俊作が何故藩を追われたのか、或いは藩の手の者に命を狙われるわけは依然不明のままであった。俊作にとって何よりも謎なのは、奥女中「世津」のとった行動であった。俊作の命を狙う計略に荷担したかと思うと彼の命を救ったのだった。 そんな謎を秘めたままシリーズ三作目に入り物語は急展開、本作で事の真相が明らかになるというのだ。カバー裏の内容紹介にそう書いてあるのを発見して、半睡半覚のつもりが俄然イッキ読みに。 世津は実は「山神衆」の女忍者であり、命を受けて一度は彼の命を狙う計略の片棒を担がなければならなかった。しかし、世津の俊作を思う気持ちが忍者の掟の重さを上回った。その結果、「山神衆」の裏切り者としての責を負うために、故郷で自決の覚悟をするのだった。 そのことを知った俊作は、世津を止めようとして彼女と故郷まで行く。そして、俊作が藩を追い出されたのは、藩の内紛に絡んで若殿を亡き者にする計略の一端だったことを知るのである。「世津」は、彼の命を守るために自ら命を落としてしまうが、内紛を起こした家老の企みも発覚、内紛を終わらせるのである。俊作は藩主から藩に戻ることを勧められるが、浪人として生きる道を選ぶのだった。

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