秋思ノ人
居眠り磐音江戸双紙
双葉文庫
佐伯泰英
2012年6月30日
双葉社
712円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
初冬の陽射しが山の端を照らす頃、甲府勤番支配職を解かれた速水左近は、三人の供を従え一路江戸に向かっていた。一方、田沼一派の動向を知った坂崎磐音は、速水一行の帰路を案じつつ夜明けの甲州道中を急いでいたが…。春風駘蕩の如き磐音が許せぬ悪を討つ、超人気書き下ろし長編時代小説第三十九弾。
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(無題)
佐伯泰英は、文庫書き下ろし時代小説という新しいジャンルを切り開いた売れっ子作家です。居眠り磐音江戸双紙シリーズは中でも1番の人気。本書はその第39巻。 甲府勤番山流しという境遇にある速水左近は、清廉潔白、公明正大、誠心誠意、勤勉な日々を送っており、地元の人や下級官吏たちから絶大なる信頼を得ていました。前巻で徳川御三家が勢ぞろいして速水左近の復権を田沼意次に要求し、左近は総者番に任ぜられます。 速水左近の甲府出立を三日早めるようにと言う通達のおかげで、磐音らによる警護の計画は出遅れます。速水杢之助・右近の兄弟は、父を警護するために、磐音と霧子とともに出立します。そのころ速水左近の一行は、老中間が足を挫いてしまい、途中の温泉で療養中です。 飛び道具を用いた待ち伏せに、弥助と霧子が活躍します。杢之助と右近の二人の息子が助勢に駆けつけると知って、速水左近は思わず感動します。磐音が登場した時点で、もう決着は着いたようなものです。 三味線作りの名人・鶴吉が田沼意次の愛妾おすなのために作った三味線を、遊び人のおすなの弟・五十次が持ってきました。北尾重政や吉原会所の四郎兵衛など、懐かしい顔ぶれが登場します。五十次を背後で操るのは、元黒鍬者の仁左衛門という男で、霧子は、仁左衛門の家に住み込みます。磐音vs田沼父子に加えて、怪しい第三の男の登場でしょうか。なんとなく、波乱が予想されます。
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