徒然ノ冬
居眠り磐音江戸双紙〔43〕
双葉文庫
佐伯泰英
2013年6月30日
双葉社
712円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
師走の空に奴凧が舞い、江戸に年の瀬の風情が漂う頃、小梅村の坂崎一家と尚武館の門弟衆は、田沼一派の手にかかり矢傷を負った霧子の回復を願う日々を送っていた。幕閣内では田沼意知が若年寄に昇進し田沼父子の権力が頂点を極める中、磐音らは未だ眠りから覚めない霧子を小梅村に移送するため若狭小浜藩江戸藩邸を訪れるが…。超人気書き下ろし長編時代小説第四十三弾。
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(無題)
居眠り磐音江戸双紙シリーズの43巻なんですね。一つのシリーズでこんなに長いなんて、長いこと書く方も書く方もですが、読む方もよく飽きずに読み続けますよね。ところが、まず、飽きるという事がないんですね。次の展開がどうなっていくのか、楽しみでしょうがないのですから。佐伯泰英の文庫書き下ろしにホットした思いを抱くのは、大きめの活字とゆったりとしたレイアウトに負うところもあるような気がします。この巻のハイライトは、ズーッとスーパーマンのような活躍をしながら、脇役を固めてきた霧子の生死の狭間からの脱出ですね。 順に物語の筋を追って行きますと、まずは竹村武左衛門の嫡男・修太郎の去就です。道場の弟子である修太郎は剣術に興味はありませんし、武士として生きることに全く魅力を感じていないようです。あまつさえ、悪い仲間との交流さえありました。柳次郎、武左衛門、磐音は若い頃からの友情で結ばれています。生きる目的を見出せないでいる修太郎のために、ここは磐音が一肌脱ぎます。その結果は、修太郎は刀研ぎの名人、天神髭の百助こと鵜飼百助に弟子入りすることになります。この間、霧子は意識のないままですが、磐音は霧子の快復を念じて21日間の早朝稽古を神に捧げます。 3・7、21日間の直心影流奥義の奉納の間、磐音は霧子に気を送り続けます。意識のない霧子の中では、長いうつし世への夢の旅でありました。一方、出羽国紅花問屋の前田屋内蔵助に落籍された奈緒の音信が伝えられます。内蔵助が馬に蹴られて死んでしまったのです。亀之助・鶴次郎・お紅と言う3人の幼子を抱え、その上大黒柱を失った家業は左前のようですが、詳しい事情はうかがい知るべきもありません。話は往き来しますが、江戸では読者が待ちに待った21日、満願の日が来ます。期待に違わずこの日、奇跡が起きて霧子は意識を取り戻します。狂喜乱舞したのは、読者ばかりではありません。そうです、利次郎です。磐音はこの2人を添わせる段取りを具体的に講じる必要を感じるのでした。 師走に入って磐音に剣術指南を依頼している紀伊藩は、半年間の謝礼として、150両を用意していたのでした。磐音はおこんと相談して、半金の75両を出羽の国の奈緒に送金することにしました。ところで、宿敵田沼意次に関連して佐野善左衛門がかつて登場しました。田沼は佐野家傍流でしたが、泊をつけるため、嫡流の善左衛門の家系図を騙し取り、家系図改ざんを企画しました。今回も善左衛門が妙な動きを見せ、磐音が生涯唯一無二の対戦者と認める剣法者・土井順桂が姿を表すのでした。 でぶ軍鶏・やせ軍鶏と異名を取り、若い頃から利次郎と好対照であった辰平にも春が巡ってきたようです。紀伊藩剣術指南の磐音の付き人として、紀伊藩出入りのうち、その腕が見込まれて紀伊藩五家のひとつ、御付家老三浦家への仕官の話しがもたらせられたのです。それどころではありません、手紙のやり取りで温めてきた筑前福岡城下の箱崎屋次郎平の三女お杏との恋が稔りを迎えるかもしれないのです。次郎平とお杏がこの春に江戸にやってくるというのです。この婚姻に対して箱崎屋はどう考えているのか、お杏を嫁にやるというのか、その場合、辰平はどのようにしてたつきを立てるのか、あるいは嫁にはやれないから武士を捨てろというのか、辰平は戦々恐々の日々です。
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