弓張ノ月
居眠り磐音江戸双紙〔46〕
双葉文庫
佐伯泰英
2014年7月7日
双葉社
712円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
天明四年(1784)弥生二十四日未明、麹町の佐野善左衛門邸を見張る霧子は、屋敷内の不穏な気配に胸騒ぎを覚えていた。意を決し邸内に潜入した霧子は、佐野善左衛門が松平定信に借り受けた刀を携え登城することを耳にする。小梅村に舞い戻った霧子から報告を受けた坂崎磐音は、急遽、奏者番速水左近への書状を認め、霧子に託すが…。超人気書き下ろし長編時代小説第四十六弾。
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(無題)
先日、久しぶりに佐伯泰英を読んだ事に触れましたが、今回は居眠り磐音シリーズです。どてらの金兵衛さんや今津屋の吉蔵が出てくると、何だかとても懐かしい気持ちになります。思い起こせばこのシリーズ、もう10年以上も続いています。著者が50巻で終了する事を明かしていますので、クライマックスに向けて、広げに広げた大風呂敷をたたみ始めたのでしょうかね。磐音と田沼意次との闘いが終焉に近付いた予感がします。田沼意次が権勢を誇った田沼時代は賄賂が横行した金権政治の時代で、そんな時代風潮を作り出した田沼意次は大悪人のイメージがあります。本書でも田沼意次は私利私欲の為に、幕閣政治を私した悪徳政治家として描かれています。しかし、これは後に松平定信らによって実行された寛政の改革で、田沼意次の重商主義が否定されてから歴史に定着した見方で、必ずしも公平な評価とはいえません。この点、庶民の見方は案外正鵠を得ていることが多いものです。 田や沼やよごれた御世を改めて 清くぞすめる白河の水 誰が歌ったかも知れないこの落首は、田沼失脚後、老中に就任した白川藩主・松平定信の政治を歓迎しています。しかし、松平定信は着物の柄まで制限する質素倹約を庶民に強いたので、良くも悪くも世俗的な田沼意次の政治を懐かしむ声も見られたのでした。それが次の落首です。 白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき さて、そんな史実はさておき、我が磐音はと言えば徳川家基の剣術指南を務めたとはいえ、一介の剣術家に過ぎない立場です。老中という政治家としての頂点に上り詰めた田沼意次が対峙するには、役不足であろう坂崎磐音。田沼がそこまで真剣に考えるには訳がありました。その謎がこの小説の一番の眼目なんですが、ここに至ってもその謎は明かされていません。そのヒントが磐音が佐々木玲圓の養子となり、家基の死後玲圓が殉死したことにありました。家基は、10代将軍徳川家治の長男で第11代将軍として期待されていましたが夭折しました。田沼による暗殺や11代将軍となった家斉の父による暗殺説がささやかれました。本書ではどうも田沼暗殺説を採っているようで、徳川家に対する佐々木家が担う秘密の役割が隠されているようです。 ともあれ、田沼時代終焉のキッカケとなった田沼意知が江戸城内で佐野政言に襲われた事件が本巻の中心を占め、陰で磐音が大活躍します。
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