白鶴ノ紅

居眠り磐音江戸双紙〔48〕

双葉文庫

佐伯泰英

2015年1月5日

双葉社

712円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

城中で十代家治の御不例が囁かれ、水面下で十一代就位への準備が進められる中、雨上がりの小梅村には嫡男空也に稽古をつける坂崎磐音の姿があった。その日の夕暮れ、尚武館の住み込み門弟の一人が突如行方をくらます。翌日内藤新宿に姿を現したその門弟は食売旅篭の店先に立っていた。一方、八月朔日、金龍山浅草寺の門前に新たな紅屋が店開きし…。超人気書き下ろし長編時代小説第四十八弾。

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とも

(無題)

-- 2018年01月21日

小説職人・佐伯泰英の手に掛かると、読者に涙させるもワクワクさせるも自在のようです。居眠り磐音シリーズも48巻、大団円まで残すところ2巻となり、力が入ります。なかでも第二章・八朔の雪が圧巻ですね。磐音は元々、豊後関前藩の中老・坂崎正睦の嫡男です。本来であれば関前藩経営の中核となる家柄です。ところが、江戸で剣術家として名を馳せています。そうなったのも、幼なじみの河出慎之輔、小林琴平とともに直心影流の佐々木玲圓の道場で修行し、3人で藩政改革を志していましたが、藩の守旧派である宍戸文六らの陰謀によって許嫁である奈緒の兄・琴平を討ち取ることになってしまったからです。磐音の人生を大きく捻じ曲げてしまった事件でしたが、小林奈緒もこの後、苦難の道を歩まざるを得ませんでした。一家の大黒柱である兄・琴平は上意討ち、年老いた父が病に倒れては、年若い娘の行末は眼に見えています。 苦界に堕ちたとはいえ、奈緒には生来の美貌と武家に育った凜とした立ち振る舞いと教養が備わっています。たちまちのうちに吉原花魁のNo1に登りつめます。そして山形の紅花大尽・前田屋内蔵助に落籍され、大商家のお内儀として幸せな再スタートを切ったかに見えました。運命の神様はどこまで意地が悪いのでしょう。内蔵助が馬に蹴られたのを機に死んでしまったのです。さらに前田屋の商運も傾き、奈緒の生活が立ち行かなくなるほどに困窮しました。この苦境から奈緒を救い出すために弥助と霧子が山形に向かったのです。本巻では奈緒が子ども3人を引き連れて江戸に戻って安定した生活を取り戻すまでが描かれます。その際に決め手となったのが書名にもなっている白鶴の紅です。白鶴とは奈緒が吉原で花魁で出ていた時の源氏名です。紅は口紅ですね。口紅の製造法は門外不出でしたが、奈緒は密かにその技を取得しその上に新たな工夫を加えていました。元花魁の出自を隠さない奈緒に、吉原を挙げての応援です。当時の吉原は単なる売春窟ではありません。流行の発信地だったのです。白鶴の紅のイメージ戦略は大成功でした。全てが磐音に連なる人脈の善意からなるものでした。 さて、本巻は前巻から2年後に設定されています。ですから利次郎と霧子、辰平とお杏二組の結婚は過去の事として語られます。また、磐音の旧主・実高は鎌倉・東慶寺でひたすら反省の日々を送っていたお代の方と復縁します。このようにフィナーレに向かって物語は、着々と落ち着くべき所に落ち着いて行きます。最大の懸念事項、田沼意次との闘いも未だ決着はつきませんが、10代将軍・家治の死去に伴い最大の後ろ盾を失って凋落の兆しが見えてきました。

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